プレーヤーとして優秀だった人ほど、管理職になっても現場の作業を手放せない。「自分でやった方が早い」と抱え込み、気づけば疲弊している――。1000社・3000名のビジネスパーソンのAI活用を見てきた、株式会社ガラパゴス代表・中平健太氏の著書『AIで終わる人 AIで化ける人』(ダイヤモンド社)から、AI時代のリーダーが取るべき“立ち位置”を紹介する。
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「手を動かさない罪悪感」が、あなたの価値を奪う
「汗をかいていない自分が、指示を出していいのか」「部下より実務ができて初めてリーダーだ」。
実務能力こそ権威の源泉だと考えるこの姿勢を、著者は「奏者(プレイヤー)思考」と呼ぶ。
そして、それはAI時代に組織のボトルネックになるばかりか、自分自身の価値まで無にしかねないと警告する。
なぜなら、目の前には人類史上最も優秀な“演奏家”が座っているからだ。
どんな難曲も初見で弾きこなし、24時間弾いても疲れないAIを相手に、「俺の方が速い」と張り合うのは、もはや雑音でしかない。
今こそ楽器を置き、指揮台に立つときだ、と著者は言う。
一流は「音」を出さず、「音楽」をつくる
バイオリンを弾くわけでも、トランペットを吹くわけでもありません。実務作業量はゼロです。
しかし、演奏が終わった時、最大の称賛と拍手を受けるのは指揮者です。なぜでしょうか?
――『AIで終わる人 AIで化ける人』より
指揮者は一音も鳴らさない。それでも最大の拍手を浴びるのは、彼らが「音(素材)」ではなく「音楽(感動)」を作っているからだ。
AIは指示すれば正確な音を出せるが、「なぜその曲を、どんな感情で奏でるのか」という解釈は持たない。
そこにビジョンを与えるのが、人間の仕事になる。
だから、実務能力が衰えることを恐れる必要はない。
一流の指揮者がすべての楽器をプロ級に弾けるわけではない。
必要なのは「うまく弾く技術」ではなく、「どんな音を出してほしいか」というビジョンと、出てきた音が80点か40点かを見抜く“耳(目利き力)”なのだ。
ただし、一流は「全責任」を背負う
もっとも、手を動かさないことは「楽をする」ことではない。
実務を手放した分、指揮者にはより重い責任がのしかかる。
そんな言い訳は通用しません。奏者(AI)は、あなたの指示通りに動いただけです。
失敗の全責任は、指示を出したあなたにあります。
「成果(手柄)」はチーム(AI)のおかげ。「失敗(責任)」は自分のせい。
この覚悟を持てない人は、指揮台に立つ資格はありません。
――『AIで終わる人 AIで化ける人』より
成果はチーム(AI)のおかげ、失敗は自分の責任。
手は動かさないが、誰よりも汗をかき、誰よりも耳を澄ませ、誰よりも覚悟を持つ。
三流は自分で抱え込み、二流はビジョンなく丸投げする。
一流は、明確な譜面を示し、結果のすべてを引き受ける。
それがAI時代のリーダーシップだ。
(本記事は、書籍『AIで終わる人 AIで化ける人』を一部を抜粋、編集したものです。)
株式会社ガラパゴス 代表取締役社長
早稲田大学理工学部卒業後、プロセス改善コンサルティングファームを経て2009年に創業。100を超えるスマホアプリ開発などを行うなかでデザイン産業の課題に直面し、いち早くAI技術の研究開発をスタート。2019年にAIを活用したクリエイティブ制作・改善サービス「AIR Design」をリリース。同サービスはのべ1000社・3000名以上に導入され、企業の業務フローと、個人の思考や働き方に根本的な変革をもたらしている。「ICCサミット KYOTO 2022 カタパルト X」優勝など起業・スタートアップ関連の賞を多数受賞。テレビやウェブメディアでも広く取り上げられ、1万人超への講演実績も持つ。現在は累計約24億円の資金調達を実施し、AI技術の社会実装を牽引している。








