森の中のログハウス写真はイメージです Photo:PIXTA

「別荘」は、多くのビジネスパーソンにとって成功者の象徴でしょう。実際、富裕層の中には事業や投資で成功した勢いのまま別荘を購入する人が少なくありません。

ところが、相続税の申告書を見ていると、その後の現実は少し違います。大満足だったはずなのに、数十年後、その評価が大きく変わるケースが少なくありません。今回は、富裕層が繰り返してきた「別荘の失敗史」から、いま始まっている第三次別荘ブームの行方を考えてみたいと思います。(アレース・ファミリーオフィス代表取締役 江幡吉昭)

軽井沢、箱根、ハワイ…
「夢の別荘」のその後は?

 近年、別荘市場が再び活況を呈しています。

 共同所有型、高級ヴィラ型、サブスクリプション型――。

 かつては一部の富裕層だけのものだった別荘も、今ではさまざまな形で手に入るようになりました。別荘における最新のトレンドは、「自分で使いながら、貸す」ことです。

 月会費5万5000円で全国の別荘が利用できるサービスや、使わない期間は貸し出して収益化できる「バケーションレンタル」制を導入したもの、オーナーだけが使えるクラブハウスラウンジを用意したものもあります。

 かつての別荘ブームの反省を踏まえたであろう工夫も多く、業界全体が進化しているようにも見えます。

 背景にあるのは、コロナ禍を経て広がったワーケーションや二拠点生活、そしてインバウンド需要の回復です。株高による資産効果も追い風となり、私は今、「第三次別荘戦国時代」が始まっていると感じています。

 しかし、この光景を見ていると、私はある種の既視感を覚えます。

 なぜなら、日本の富裕層はこれまで何度も別荘ブームに熱狂し、そのたびに似たような結末を経験してきたからです。そして、その後に起きたこともまた、驚くほど似ていました。

 実は日本ではすでに何度も別荘ブームを経験しています。第一次別荘ブームと考えられるのは、軽井沢や箱根に代表される明治・大正・昭和初期に連なる避暑地文化の時代。そして第二次として1980年代のバブル期に起きた全国的なリゾート開発ブームです。

「資産価値は上がる」「子どもに残せる」「将来も人気が続く」そんな言葉に後押しされ、多くの人が別荘やリゾートマンションを購入しました。

 当時の本人にとっては夢の実現だったでしょう。週末は軽井沢、長期休暇はハワイ。多くのビジネスパーソンが憧れる生活です。ところが、相続税の申告書には、その夢の「後日談」が記されています。

 私はこれまで数多くの富裕層の相続案件を見てきましたが、そこには驚くほど共通するパターンがあります。

 ある富裕層は、数億円を投じて手に入れた別荘について、こう語っていました。