【大人の教養】世界史は暗記では伸びない…知識が定着する「理解のコツ」とは?
世界史を学び直そうと思っても、膨大な用語や年号を前に「やっぱり暗記科目だ」と挫折してしまう人は少なくない。しかし、代々木ゼミナール講師の伊藤敏先生は、「世界史は『流れ』で覚えるだけでは限界がある」と指摘する。大切なのは、出来事を丸暗記することではなく、背景や因果関係、概念を理解して知識をつなげることだ。世界史が驚くほど頭に入り、忘れにくくなる「理解」の技術を紹介する。
Photo: Adobe Stock
世界史は「流れ」で覚えてはいけない…その意外な理由とは?
世界史をもう一度学び直そうと思ったとき、多くの人がまずぶつかるのは、その情報量の多さではないだろうか。国名、人物名、戦争、条約、年号、思想、宗教、制度。覚えるべきことがあまりにも多く、気づけば「暗記科目」として世界史を捉えてしまう。しかし、代々木ゼミナール講師の伊藤敏先生は、世界史を学ぶうえで最も大切なのは、暗記ではなく「理解」だと言う。
もちろん、世界史は情報量が多い。用語を覚えなければならない場面もある。だが、ただ記号のように用語を並べて覚えるだけでは、受験においても、学び直しにおいても、どこかで頭打ちになってしまう。
「単に記号みたいな用語の羅列だけでやっていくと、それは結局、世界史の勉強とか受験においても、どうしても頭打ちになってしまうんですよね」
では、伊藤先生の言う「理解」とは何なのか。それは、雑多に見える用語やキーワードを、自分の頭の中でまとめ上げ、体系化することだ。たとえば、概念を押さえる。地図のような視覚的な情報を使う。そうしたものを組み合わせながら、歴史上の出来事をバラバラの知識としてではなく、つながりのあるものとして捉えていく。
「頭の中でそういった雑多な用語だとか、キーワードみたいなものをどうやってまとめ上げるか。そこにはやっぱり、理解が絶対に必要だと思うんです」
世界史の学習ではよく、「流れで理解する」と言われる。だが伊藤先生は、この「流れ」という言葉にも注意が必要だと考えている。
「僕的には、その『流れ』って何だろう、という話なんですよね」
たとえば、「ある国ができます」「領土が広がります」「滅亡します」という説明は、たしかに一つの流れではある。だが、それがすべての地域や時代に当てはまるわけではない。歴史を「流れ」として単純化しすぎると、かえって見落としてしまうものが出てくる。
「『流れ』と言ってしまうと、やっぱりパターン化しちゃうじゃないですか」
実際の歴史には、パターン化できない部分がある。そして入試でも、そうした単純化できない部分が問われることがある。だからこそ、伊藤先生は「流れ」をただ覚えるのではなく、背景や因果関係を押さえることが大切だと言う。
「変にパターン化するんじゃなくて、ちゃんと因果関係というんですかね。原因があって、背景があって、それで結果がある、という形の因果関係は、やっぱりしっかり押さえてほしいんです」
一つの出来事を単独で覚えるのではなく、その出来事はなぜ起きたのか。どんな背景があったのか。そして、その出来事が次にどんな出来事へとつながっていくのか。そこまで見ることで、世界史はようやく「理解」できるものになる。
「一個の事象で終わりじゃなくて、それが次のどんな出来事に派生していくのかまで、しっかりと視点を持ってほしいなという思いはありますね」
さらに伊藤先生が重視するのが、「概念」である。概念は、世界史における公式のようなものだという。たとえば「オリエント」という言葉が何を指すのかがわからなければ、オリエント史を理解することはできない。「大航海時代」という言葉も同じだ。
大航海時代と聞けば、「ヨーロッパの国々が世界各地へ船出した時代」とは言えるかもしれない。しかし、なぜ船を出したのか。何を目的としていたのか。どのような背景があったのか。そこまで見えてこなければ、出来事は頭の中で整理されない。
「大航海時代と聞けば、『ヨーロッパがいろいろな国に船出したんだな』と思うかもしれない。でも、じゃあなぜ船を出したのか、何が目的だったのかが見えてこないと、事象が頭の中で整理できないわけですよね」
だからこそ、世界史の学び直しでは、単に出来事を追うだけではなく、概念や背景を丁寧に扱うことが重要になる。
(本稿は『地図で学ぶ「深読み」世界史』著者へのインタビュー記事です)









