「休日出勤が入ってしまった」→「少しだけなら手伝えるかも」という保護者と保育士の個人的なやり取りが、時として深刻な問題を引き起こします(写真はイメージです) Photo:PIXTA
「保育園の先生とLINE交換できる」「休日に遊んでくれる」といった“距離の近さ”を喜ぶ保護者は少なくありません。しかし、泥沼トラブルの入り口になったり、子どもの健やかな成長を奪うきっかけになったりと、極めて危険なサインでもあります。(社会福祉法人 みなみ福祉会理事長 近藤敏矢)
保育士と保護者がLINE交換
休日の「個人的な預かり」は美談か?
「今度の日曜は仕事で……だけど、うちの子を見てもらえる人が誰もいないんです……」
長く保育の仕事をしていると、保護者からそのような悩みを相談されることがあります。頼れる人が近くにおらず、どうしても外せない休日出勤や出張が入ってしまった場合など、誰かの助けにすがりたくなる瞬間もあるでしょう。
一方で、毎日顔を合わせている保育士側にも「少しだけなら手伝えるかも」「あのご家庭が本当に困っているなら助けたい」という善意が生まれます。しかし、この「個人的な善意」こそが、時として保育の現場に深刻な問題を引き起こすのです。
実際に、保育士と保護者がLINEを交換して、休日に園児を預かっていたケースを知っています。その話を聞いた当初、私は単純に「良い」「悪い」と判断することができませんでした。なぜなら、その場にいた誰も悪人ではなかったからです。
どうにもならない事情で困り果てているご家庭がありました。そして、それを助けたい保育士がいました。預けられた子は、大好きな先生が遊んでくれることで喜んでいました。育児と仕事の両立という大変な状況で、他に手段の無かった家庭に救いの手が差し伸べられ、その場は無事に乗り切ることができた。一見すると、心温まる「いい話」です。
しかし、もし個人的な預かり中に子どもが怪我でもしたら、誰が責任を取るのでしょうか。もし保護者と保育士の間で、お礼についての考え方がズレていたらどうなるでしょうか。あるいは、周りから「特別扱いしているのではないか」と疑われたら……。







