しかし、子どもは周りの動きを実によく観察しています。「あの子が先生におみやげを渡していた」「私も先生にあげたい」「どうしてうちは持っていかないの?」という気持ちが、他の子たちの中に自然に生まれます。
すると、最初は純粋な感謝の気持ちだったのが、だんだんと別の意味を持ち始めるのです。よく旅行する家庭もあれば、お金や時間の都合で行けない家庭もあります。にもかかわらず、「休み明けには先生におみやげを持っていく」という慣習ができあがってしまうと――「おみやげ合戦」に参加できない家庭は肩身の狭い思いをし、取り残されてしまいます。
いつの間にか「先生へのおみやげを買うこと」が暗黙のルールになると、ひとりの保護者の純粋な善意から始まった行動が、声なきプレッシャーとなって別の家庭を苦しめるのです。
職場での「おみやげ文化」と同じ構造です。「あげた」「あげない」「○○さんは有名な高いお菓子だった」などと職場の人間関係を左右するネタになります。
特定の家庭との立ち話が招く
「不公平感」にモヤモヤ…
保護者と保育士が親しくなること自体は、決して悪いことではありません。むしろ良い関係は望ましいものです。問題は、その親しさが「周りからどう見られるか」という視点を忘れてしまうことです。
例えば、ある保護者と担任の保育士が、毎日のようにお迎えの時に、長時間の立ち話をしていたとします。内容は単なる子育て相談かもしれませんし、実際には何も問題はありません。
しかし、それを横目で見ている他の保護者はどう感じるでしょうか。「うちの子のことはあまり気にかけてくれないのに」「先生はあの親子がお気に入りなのね」――。
実際どうかは関係ありません。周りに、そう見えてしまうこと自体が、保育園にはリスクなのです。
利用者目線では、「公平に対応してくれている」「信頼できる」と感じられるかも、良い保育の大切な要素です。どれほど質の高い保育をしていても、あらぬ疑いが一度広がれば、園への信頼は失われます。そして、一度信頼を失った園は、良い保育を続けることがとても難しくなります。







