家族は大切にするもの――。そうした世間の価値観を知りつつも、親やきょうだいとの関係に悩み、距離を置きたいと感じる人もいるだろう。「家族なのだから仲良くしなければ」と思うほど、苦しくなってしまうこともある。そんな家族とのしがらみに疲れたとき、少し違った角度から関係を見つめ直すヒントをくれる、美輪明宏さんら3人の言葉を紹介する。※本稿は、名言ハンターの大山くまお『脱力名言。』(三笠書房)の一部を抜粋・編集したものです。

たとえどんな家族だとしても
仲良くしなければならないのか?

美輪明宏
父母、兄弟、夫妻という、単なる言語に惑わされてはいけません。あくまでも対人間同士。
「お互いに、いかにいい人間同士でいるか」と考えれば、スッキリするものなのです。
美輪明宏さん美輪明宏さん Photo:SANKEI

 家とは、心の安らぎを得られる場所であると、長らく思われてきました。

『サザエさん』『ちびまる子ちゃん』『クレヨンしんちゃん』などの国民的な長寿アニメは、いずれも日本のあたたかな家族像を描き続け、人気を博しています。

 しかし、実は家族との間に問題を抱える人が、とても多いことがわかってきました。

 特に、長年にわたって「大切にすべき」だと考えられてきた親との折り合いの悪さに悩む人は、けっして少なくありません。近年は子どもに偏った愛情を注ぎ、人生を支配しようとする「毒親」の存在もクローズアップされています。

 美輪明宏さんは、父母、兄弟、夫妻などというのは、「戸籍上の続柄を表す記号に過ぎない」と言い切ります。

 家族から記号を取り払い、「この人は、どんな心を持っているのだろう」と観察して判断することが大事だというのです。もちろん、親であろうと相手に問題があったら、距離を置かなければいけません

 親との折り合いが悪い人は、「自分を生んでくれた親だから大事にしなければいけない」「血は水よりも濃い」という思い込みをいったん手放し、親に対する考え方を変えることで、新しい関係性が生まれるのではないでしょうか。

家族だけど「何も知らない」
家族を個人として考える

下重暁子
家族団欒という幻想ではなく、一人ひとりの個人をとり戻すことが、ほんとうの家族を知る近道ではないのか。

 キャスターの下重暁子さんの著書『家族という病』は、下重さんと家族との関係を赤裸々に綴ったエッセイです。「一家団欒という呪縛」を一刀両断する本として、ベストセラーになりました。

 下重さんは、嫌っていた父親や、自分への愛が重かったという母親、ほとんど口を聞いたこともなかった兄について、彼らのことを、死後、「何も知らなかった」と愕然としたといいます。

 友人や知人は、相手を知ろうとして話を聞くものです。でも、親についてはどうでしょうか。実はよく知らなかった……という人も多いと思います。