現役バンカーも認めた
支店長・浅野のリアルな“嫌がらせ”
そこで早速、銀行への取材を試みた。
「『半沢直樹』ですか? もちろん見ていますよ。あっ、ちょっと待ってくださいね。場所を変えますから」
ある銀行マンに電話で趣旨を伝えると、そういって数分後に折り返し電話がかかってきた。どうやら、周りに行員がいる場では、ホンネでは話しづらかったらしい(苦笑)。
「そりゃね、話題になっていますよ。行員はほとんど見ているんじゃないかな」
そう明かすのはメガバンクの中堅クラス行員。半沢よりは少し年次が下くらいの世代だ。彼が注目したのは第2話の最後に出てくる「裁量臨店」というキーワード。
第2話では半沢の所属する支店の支店長が本部に対し、「近々、当支店に裁量臨店を行なってはどうかな」と密かに伝える。裁量臨店とは、銀行本部にある監査部門が支店の融資内容に問題がないかどうか検査を行う、というもの。
そういった表向きの目的とは裏腹に、実際には「半沢が5億円を回収するための行動を邪魔するという“嫌がらせ”以外のなにものでもないのでは?」と、この銀行マンは読む。本部に対し、半沢は融資課長として説明する時間をかなり割く必要が出てくるはずからだ。
その答えはおそらく7月28日放送の第3話が明らかにしてくれるだろうが、こういった嫌がらせは現実の世界でも想像に難くない出来事らしく、「我々からすると、珍しく銀行員が理解できる面白さがあるドラマですね」とこの銀行マンは語る。
また別のメガバンク幹部は、社宅での奥様方のやりとりを見て楽しんでいるという。彼女たちの上下関係が夫のそれで決まってしまうというリアルさもさることながら、実際の世界では、たとえばボーナスの支給日を妻に秘密にしていたのに、ある日家に帰ると「今度のボーナス、増えるらしいじゃない」と奥様から突っ込まれることもあるのだとか(笑)。もちろん、社宅における井戸端会議でダダ漏れというわけだ。