なぜ半沢と「国税」黒崎は対立しているのか?
“サムライバンカー”半沢が銀行員に支持される理由
ちなみに、片岡愛之助氏演じる国税局の黒崎のような強烈なキャラクターについては、さすがに「どいて頂戴! なんて顧客が言われることはないけど(笑)」とは言いつつも、「国税が偉そうなのは間違いない」と銀行マンたちは口を揃える。
「逆らったときには営業時間中でも支店を閉められる怖さがある」というのも、銀行では先輩から代々教わる“伝説”になっているらしい。仮に営業時間中に閉店ともなれば、顧客に迷惑をかけるばかりか、なんと金融庁に対しても報告義務が発生するのだとか。国税の検査とは支店にとって、それほど厄介なものなのだ。「動くな、物は捨てるな、逆らうな、が鉄則」(中堅銀行マン)。
この他、融資先に粉飾されて夜逃げされれば本当に悔しい思いをするし、多少の誇張はあれ「人事がすべて」といったサバイバルな世界もまさにその通りだそう。
もっとも、半沢のように自分の腹で責任やリスクを取る“サムライバンカー”の存在も今は昔。「最近の銀行員は金太郎アメみたいな感じ。さらに金融商品取引法が施行されて以降は、一度断られた先にはもう営業できないなど難しい世界になった」と悲しい現実を吐露するバンカーも。
「昔は、弁当3つもって、融資させてもらえるまで帰りません! と言い放って、籠城覚悟で営業しているバンカーもいたんだけどね」。それが現実だからこそ、毎週日曜、半沢の痛快な言動を楽しみにしている銀行員は多そうである。