グレッグ・キーオさんは通常よりも大きな粘着クリーナーの販売で年間5万ドル以上を稼ぐグレッグ・キーオさんは通常よりも大きな粘着クリーナーの販売で年間5万ドル以上を稼ぐ ELI DURST FOR WSJ

 グレッグ・キーオさんは会社に行くときの服装や、仕事が終わって疲れ果ててしまうことに耐えられなかった。9時から5時までの会社員生活から抜け出す方法を見つけるため、「不労所得」と呼ばれる世界に飛び込むことを決意した。

 多くの30代と同様、キーオさんには信託財産も配当金で生活できるほどの十分な貯蓄もなかった。そのため、自分の時間を自由に使えるような、手のかからないお金の稼ぎ方を模索した。

 キーオさんの突破口は、通常よりも大きな粘着クリーナーを見つけて喜んでいた犬の飼い主との偶然の会話から生まれた。機械エンジニアの素養があるキーオさんは、ペーパータオルとほぼ同じ幅のクリーナーを設計してアマゾンに出品したところ、それが飛ぶように売れた。

 キーオさんは粘着クリーナーで一大ビジネスを築こうとすることもできたが、無理はしないことにした。始めてから7年がたった現在、彼がこの仕事に費やす時間は通常、月に2時間以下だが、年間約5万~11万5000ドル(約800万~1900万円)の利益を得ている。

 それよりも大きな収穫は、そこから得られる収入をあまり気にすることなく、毎日の時間やエネルギーを何に費やすか選べるようになったことだ。テキサス州オースティンに住むキーオさんは「それこそが究極の力だ」と語る。

 一生懸命働いて成功を収めるというのがアメリカンドリームだとすれば、一部でそれは「全く働かなくてもいい」という夢へと取って代わられつつある。

 こうした夢は、決して今に始まったことではない。だが、 従来の働き方は破綻している という認識の広がりが、その思いに拍車をかけている。3月の時点で、給与や昇進の機会に満足している米労働者の割合は、ニューヨーク連銀が2014年に調査を開始して以来、最低を記録した。

 ソーシャルメディア上では、不労所得に取りつかれた人たちが一風変わった計画を試し、情報交換を行っている。中には実際に収入を得て、自由な時間を取り戻す人もいる。しかし、インターネットで飛び交うアイデアの多くは使い物にならないか、さらに悪いことには詐欺の場合もある。米連邦取引委員会(FTC)は近年、楽して稼げるという誘い文句で消費者から数百万ドルをだまし取ったとして、複数の業者を摘発している。