平松政次氏 Photo:SANKEI
プロ野球ではデッドボールも勝負の駆け引きのひとつとされる。しかし一方で、投手たちの胸には「この打者だけには絶対に当ててはいけない」という特別な思いが存在した。王貞治、長嶋茂雄という「球界の宝」との対戦、そして江本孟紀氏が明かす高橋慶彦氏への「危ない一球」の真相――。平松政次氏と江本氏が、昭和プロ野球を彩った名打者たちとの知られざるエピソードを振り返る。※本稿は、プロ野球解説者の江本孟紀『昭和・平成 プロ野球ぶっちゃけ話 「あの伝説」の真相が10倍楽しくわかる本』(清談社Publico)の一部を抜粋・編集したものです。
「球界の宝」王と長嶋は
デッドボールを当てちゃいけない…
江本 平松は王さんと対戦するときには、どこ見て投げてたの?
平松 そりゃ、いろいろ見て投げてたわ。
江本 (デッドボールを)当てたことはない?
平松 ないんだよ。ON相手に一度も当てたことがない。
江本 それが問題なんだよ。
平松 オレにとって王さん、長嶋さんは球界の宝だと。そこへ来て「ケガをさせちゃいかん」っていう思いがあるから、「デッドボールはダメだ」という正義感が働いていたね。
江本 それは人間性を表しているよ(笑)。
平松 長嶋さんには、ものすごいシュートを投げていたけど、一度も当てたことがない。
江本 それはすごいね。オレなんか「当てちゃいかん」と思っていても、球があちこち行ってしまって……(笑)。王さんには2回くらい当てたかな。でも、わざと当てたことはないもん。わざと(当てたこと)はある?
平松 ないない。120死球あるけど、わざとは一度もない。
江本 一度だけ、マウンドから「当てるぞ?」と言って当てたヤツ。(広島の)高橋慶彦。アイツの33試合連続ヒットの記録、オレが止めたの。アイツのときに、ベンチから「敬遠」のサインが出たの。







