人口1人当たりで見た、独自施策等に充てられる
自治体財源の格差(東京都/他道府県平均)

「多摩川格差」という言葉がある。豊かな財源を持つ東京都と、多摩川を挟んで隣り合う神奈川県との間で、行政サービスや子育て支援等に大きな経済格差が生じている状況を指す。もちろん、これは神奈川県に限った問題ではない。今年4月には、埼玉県・千葉県・神奈川県の3知事が国に対し、東京都に偏在する税源の是正を申し入れた。
申し入れでは、東京都が豊富な財源を背景に、「0~2歳児の第1子保育料無償化」や「水道基本料金無償化」「0~14歳の子どもに対する1人当たり1万1000円支給」などの施策を打ち出し、周辺自治体との地域間格差が看過し得ない水準にまで拡大したと指摘されている。
地方財政審議会の報告書によれば、独自施策などの財源を人口1人当たりで見ると、他道府県平均は7.8万円であるのに対し、東京都は28.1万円と約3.6倍にも達する。最小県と比較すると約5倍もの格差だ。
また、10年前との比較では、東京都が10.4万円増加した一方、他道府県平均の増加は1.6万円にとどまり、財政力格差が拡大傾向にあることも報告されている。
その要因が、地方法人2税の税収格差だ。
東京都と最小県との比率は6.3倍にもなり、特別法人事業譲与税による再分配後でも3.6倍の差が残る。さらに、住民税は2.5倍、固定資産税は2.3倍と、東京都の優位が際立っている。
この東京への富の集中に大きな影響を与えているのが、近年のDX(デジタルトランスフォーメーション)の進展だ。企業のDXとプラットフォーム事業化によって、ECモール出店料、フランチャイズ料、親会社への経営指導料などが東京本社に集まってくる。
ECは店舗を必要としない事業形態だが、納税額における東京都のシェアは5割を超える。また、フランチャイズ事業は地元事業者の店舗を活用するが、納税額では東京都のシェアが店舗数比率より大きい。このように事業実態よりも多くの富が東京に集まる構造となっている。
人口減少社会への転換を模索する中、今後は社会インフラの見直しなどで地方にも大きな財政負担が想定されるだろう。税の再分配やふるさと納税など、従来型の施策で対応できるとは考えにくい。かつて議論された道州制も含め、国と地方との関係をゼロベースで見直す、抜本的な議論が必要だ。
(行政システム顧問 蓼科情報主任研究員 榎並利博)







