「脱東京一極集中」と表裏一体の地方創生、10年で実質GDPを14%増やせる「4つの処方箋」Photo:PIXTA

来年度予算で交付金2000億円に倍増
石破政権の「地方創生2.0」に期待できるか

 石破茂首相は1月6日の新年の年頭会見で、目玉政策として地方創生に言及、「『令和の日本列島改造』と位置づけ、『地方創生2.0』を強力に推し進める。これができないことには日本は本当に終わるという気持ちを持って進める」と、強い意欲を語った。

 昨年末に閣議決定された2025年度の政府予算案でも、「地方創生2.0」関連で「新しい地方経済・生活環境創生交付金」が新設され、従来の地方創生関連の交付金の2倍に当たる2000億円が充当された。地域産業のデジタル化や高付加価値化などを促進するための措置も多数盛り込まれている。

 問題はこうした交付金を含め、地方創生の実現でどういった取り組みに集中するかだ。

 6日の会見では、首相は政府機関の地方移転やスタートアップ企業の地方での創業などの支援で政府が「一歩に前に出るべきだ」と語ったが、忘れてならないのは、地方の過疎化や停滞は、「東京一極集中」と表裏の関係にあることだ。

 毎年10万人以上が東京圏に純流入している状況は10年前と変わっていない。

 背景には、地方と東京圏の間での生産性と所得の格差がある。東京圏は地方よりも労働生産性が高いため所得の高い仕事が多い。そう考えると、地方で生産性が高まれば、所得の高い仕事が増え東京圏への人口純流入が抑制されると思われる。

 鍵を握るのは、地方の生産性をいかに高めるかだ。とりわけ差が大きい非製造業の生産性を高めることやそれぞれの地域が強みを発揮できる特定産業の振興、そしてこうした取り組みに対する交付金を低所得の市町村に順天的に給付することだ。

 それができれば、「地方創生2.0」によって今後、10年で実質GDPを14%増やすことができる。