榎並利博
コスト削減どころか税金投入?自治体システム標準化で経費膨張、成熟度が低く現場で悲鳴
今年1月末、全国62の中核市で構成される中核市市長会が「自治体業務システムの標準化」(業務システムを全国統一仕様にする国の施策)に関する緊急要望を発表し、関係者に衝撃が走った。2025年度末の期限まで残り1年余りとなる中、運用経費が以前より増大するという見通しが示されたのだ。

マイナポータルの利用者は人口比62%を突破、積極活用しDX推進を
マイナ保険証の効果であろうか、今年の2月でマイナポータルの利用登録者数が7723万7594人と人口比で約62%を占めるまでになった。マイナンバーカードの保有者は約9695万人であり、カード保有者のうち約79%がマイナポータルを利用できる状況だ。

生成AIを使わない日本人、コストやリスクの偏重が社会の発展を妨げる要因に
大きな話題を呼んだChatGPTの登場から2年、生成AIの進化は目覚ましい。日増しにその応用範囲や能力は高まっているが、日本の生成AI利用は低迷している。

マイナ保険証が経費の削減に、医療保険の診療行為でマイナンバー特別法の制定を
健康保険証の廃止が迫っている。12月2日以降、新規の健康保険証は発行されなくなるが、マイナンバーカードへの抵抗感からか、カードのトラブルが絶えないといったネガティブな話題で溢れている。しかし、健康保険証の廃止において見逃してはならない深刻なテーマは、増大する医療費の問題だ。

日本の博士号取得者数は異例の減少傾向、経済界は理系偏重をやめよ
生成AIなどの技術革新が世界を変えようとしている今、イノベーションを支えるのは高度な専門知識を持つ人材だ。その対象となる指標の一つが博士号取得者数である。日本の博士号取得者は、諸外国に大きく後塵を拝している状況だ。

新聞の1世帯当たり購読部数「半数割れ」の衝撃、AIの偽情報への対抗策が鍵
新聞の発行部数の減少に歯止めがかからない。インターネットの普及によって新聞が絶滅するという指摘自体は、約30年前のネット黎明期から存在していた。新聞とネット、それぞれの強みは何か。

デジタル化に好意的なのは若者よりも高齢者だった、適応度の二極化を縮小せよ
社会のデジタル化を「良いと考えている」人の割合が48%にも達していることが分かった。「良いとは思わない」という回答は12%であり、おおむねデジタル化は受け入れられているようだ。では、社会のデジタル化への適応度合いはどうだろうか。

マイナンバーのひも付けミスは初期トラブルで批判続出、よりシンプルな制度の構築を
2023年3月、マイナンバーカードによる住民票のコンビニ交付で、他人の住民票が発行される問題が起きた。自分のマイナンバーに他人の情報がひも付いたという事実は、マイナンバー制度の信頼を根本から揺るがす問題だ。

国内のフィッシング件数は5年前の96倍以上に、サイバー犯罪はビジネスに変貌
ここ数年、フィッシングが新たな社会問題になっている。フィッシングとは、実在する組織とそっくりな偽サイト(フィッシングサイト)へ利用者を誘導し、アカウントIDやパスワード、クレジットカード番号などを詐取する行為だ。

ChatGPTによる雇用喪失は先進国で4人に1人、新たな仕事の創出が課題に
公開後たった5日でユーザ数が100万人に達し、2カ月で1億人を超えたChatGPT。いまだに話題が絶えないのは、誰でも簡単に利用できるからだろう。質問への回答や小説の執筆、ビジネスへの活用と、その応用方法は個人レベルでも大いに広がっている。一方で雇用喪失についての懸念も表明されている。

山口県阿武町で、新型コロナ給付金4630万円を誤送金した騒動から1年がたった。受け取った住民の返金拒否もさることながら、別の驚愕の事態が当時話題になった。役場と金融機関のデータのやりとりに、昭和の遺物「フロッピーディスク(FD)」が使われていたのだ。

2022年度の調査で「全社戦略に基づいてDXに取り組んでいる」と回答した日本企業の割合は54.2%と、ようやく過半数に達した。これ自体は良い傾向だが、米国には依然10ポイント以上引き離されている。米国の後塵を拝している理由は、ITに見識のある役員の割合が低いことと手薄なキャリア支援だ。

メタバースという言葉をご存じだろうか。博報堂DYホールディングスが2022年11月に公表した「メタバース生活者意識調査」では、メタバース関連のサービスを知っている人の割合は全体の36.2%という結果だった。メタバースとはインターネット上の3次元仮想空間のことで、利用者はアバター(分身)を操作して、別人格として現実と異なる世界を享受できる。

政府は2023年3月末までに、ほぼ全ての国民にマイナンバーカードが行き渡ることを目指している。10月18日に交付率が50.1%とようやく半数を超え、10月末時点で51.1%に達した。2万円分のポイント付与で国民を釣ることには疑問の声もあるが、10万円の特別定額給付金でオンライン申請が殺到した過去を踏まえると、悪い選択ではないはずだ。

DXという言葉について今さら解説は不要だろう。民間企業においてはDXが浸透しており、対応していかないとこの先「自分の仕事がなくなる」あるいは「会社がなくなる」という危機感が漂っている。

コロナ禍でデジタル化の遅れを痛感したわが国は、DX(デジタルトランスフォーメーション)を促進し、デジタルを前提とした社会を構築しようと官民を挙げて取り組んでいる。しかし、企業(事業会社)のうち90.7%が「事業戦略上必要なIT人材の量が不足している」と回答しており、これで成果が期待できるのか心もとない。

プログラミング教育を必修化した新学習指導要領が実施されて小学校では2年が経過した。小学校教育の狙いとしては、プログラミングの言語や技能を習得することよりも「論理的に考える力を身に付ける」ことに重きを置いている。子どもたちはプログラミングを楽しんでいるのだろうか。

マイナンバーカード普及のため、最大2万円分のポイントを付与する制度が始まった。政府は2022年度末に国民のほぼ全員がマイナンバーカードを保有することを目標としており、そのための推進方策だ。カードの新規取得、健康保険証の利用登録、公的給付金受取用口座の登録と段階的に付与される。

新型コロナ感染再拡大への警戒を怠ってはならないが、ワクチン接種の普及によってこれまでの日常が取り戻せる兆しも見えてきた。しかし、ただ時間を巻き戻すだけでなく、コロナ禍によって得た経験や課題を踏まえ、より良い方向へと社会を前進させていくことが重要だ。

新型コロナウイルス感染症の終息の兆しも見えず、社会的不安が広がり始める中、社会的な孤独・孤立が問題化しつつある。高齢者を対象とした国際比較調査では、日本の高齢者の31.3%が「親しい友人がいない」という。これは他国(米、独、スウェーデン)と比較して2倍から3倍の数字だ。特に日本の高齢者男性では40.4%が「親しい友人がいない」と回答し、女性(23.0%)よりも深刻だ。
