アメリカ・カナダ・メキシコ3カ国共催のFIFAワールドカップ2026の日本戦4試合を現地で観戦した。日本はグループリーグを2位(勝ち点5)で突破したものの、決勝リーグの初戦でブラジルに1-2で敗退した。
Photo:@Alt Invest Com 2026年6月30日の決勝トーナメント一回戦 日本×ブラジル戦1-2敗戦。チケット価格は公式リセールでトータル1100ドル(約17万6000円)
日本ではブラジル戦後半の失速などについて議論が起きているようだが、ここではチケット価格について考えてみたい。ただし以下は、あくまでも私の個人的な体験に基づいた意見だ。
出場チームがこれまでの32から48に増えたことで、ゲームの間隔が延び、さらに決勝トーナメントのチケット購入が困難になった
今回のワールドカップの最大の特徴は、出場チームがこれまでの32から48に増えたことだ。その結果、予選のグループが8から12になり、決勝トーナメントに進む条件が複雑になった。
これまでの32チームだと、8グループ(各グループ4チーム)の上位2チームが予選を突破し、16チームが決勝トーナメントを戦った。だが48チーム12グループになると、上位2チームでは24にしかならないため、各組の3位のなかから勝ち点や得失点差などで8チームが加えられ、32チームがトーナメントに進むことになった。
この変更を現地観戦する立場から見ると、大きく二つの影響がある。
一つは、グループリーグの試合数が増えたことで、ゲームの間隔が延びたこと。前回のカタール大会では中3日が基本だったが、日本戦を例にとると、6月14日のオランダ戦(ダラス)と20日のチュニジア戦(メキシコのモンテレイ)が中5日、25日のスウェーデン戦(ダラス)までが中4日で計12日、この3試合を現地観戦しようとすれば、移動などを入れて2週間の旅程が必要になる。
もう一つは決勝トーナメントのチケットの買い方で、これまでの方式だとグループリーグで1位になった場合と2位になった場合で開催日が異なっていたので、両方を買っておけば確実だった(2018年のロシア・ワールドカップでは、このやり方でロストフ・ナ・ドヌの日本×ベルギー戦を観戦できた)。
だが今回は、決勝リーグの試合数が増えたことで、日本がグループリーグを1位で突破すると29日の午後8時からモンテレイ、2位突破の場合は同日午後12時からヒューストンで試合が行なわれ、どちらかしか観られない。さらに3位になった場合は、グループリーグが終わる27日夜にならなければ組み合わせが確定せず、スタジアムもどこになるかわからない(日本と同じF組3位のスウェーデンは30日にニューヨークでフランスと対戦した)。
この方式の問題は、最初の方の組で3位になった場合、中途半端な状態に置かれてしまうことだ。その“被害者”が韓国で、24日に南アフリカに0‐1で敗れてからグループリーグ敗退が決まるまで4日間、選手もサポーターも無為な日々を過ごすことになった。
それならいっそのこと出場チームを64に増やして、上位2チームが決勝トーナメントに進むようにすればいいという意見もある。このほうがたしかに公正で、キュラソーやカーボベルデといった小国のチームが善戦したことで多少は現実味が増したが、そうなると予選で16グループが全48試合を行なうことになるから、日程はさらに延びることになる。
決勝トーナメントのチケットは、日本が2位でグループリーグを突破し、C組1位のブラジルかモロッコと対戦すると予想して、ヒューストンの試合をあらかじめ買っておくことにした。仮に日本が1位突破すると、2位はオランダになるだろうから、ブラジル×オランダ戦でもいいと考えたこともある。幸いなことに日本×ブラジル戦になったが、この複雑さに決勝トーナメントの観戦をあきらめたひともいるだろう。
公式のリセール価格でも正規価格の450ドルがおよそ3倍に。税金と手数料を加えて、トータルでは1875ドル(約30万円)に
今回のワールドカップのもうひとつの話題がチケット価格の高騰で、決勝戦のチケットが8万ドル(約1300万円)で取引されたと報じられた。その原因は、FIFAが公式のリセール(転売)を行なうようになり、チケット価格が「市場原理」で決まるようになったからだ。
グループリーグを例にとると、チケットは大きくカテゴリー1(下層階)とカテゴリー2(上層階)に分けられ、カテ1の正規価格は日本×オランダのような人気カードが450ドル(約7万2000円)、それ以外のカードが350ドル(約5万6000円)だった。だがこの価格で入手するには、25年9月(第1フェ-ズ)から26年1月(第3フェーズ)にかけて行なわれた抽選に当たらなければならない。
FIFAは抽選の倍率を公表していないようだが、公式アプリをダウンロードし、メールアドレスと電話番号があれば誰でも参加できるため、定価でチケットを手に入れるのは宝くじに当たるようなものだろう。チケットの多くが、大量のアカウントをつくることのできる業者に流れたともいわれる。
私の場合、第3フェーズの抽選に外れたあと、FIFAのリセールでグループリーグの3試合のチケットを購入した。ただしこの段階では、カテゴリーと枚数を選び、その金額がクレジットカードから引き落とされるものの、購入確認のメールが送られてくるだけでチケットは発行されない(かなり不安になる)。
Photo:@Alt Invest Com 日本の初戦となった6月15日のオランダ戦@ダラス
チケットの価格には10%の消費税に加えて、FIFAに支払う15%のリセール手数料が上乗せされる。オランダ戦のチケットはカテ1を1500ドル(約24万円)で購入したが、先に述べたように正規価格は450ドルだから、リセールでおよそ3倍に上がったことになる。これに150ドル(約2万4000円)の税金と225ドル(約3万6000円)の手数料を加えて、トータルでは1875ドル(約30万円)になる。
それ以外では、チュニジア戦の価格が830ドル(約13万3000円)、第3戦(その時点では対戦相手が決まっていなかった)が700ドル(約11万2000円)だったから、定価のおよそ2倍になった。このように、対戦カードによってチケット価格はかなり変動する。
Photo:@Alt Invest Com グループリーグ第二戦となったチュニジア戦4-0快勝@メキシコ・モンテレイ
5月になってアプリにチケット画面が表示されるようになり、座席も決まった。ダラスで行なわれた第1戦と第3戦がメインスタンド中段のVIP席の隣、第2戦がゴールに近いメインスタンド下層のよい席で観戦できたので、早めの購入者には一定の配慮があるのかもしれない。
ただしその後、「フロントカテゴリー1」「フロントカテゴリー2」という席種が追加されたことで、初期にカテ1で購入しても、ピッチに近い下層階が割り当てられないのではないかと問題になった(これについてはニューヨークの司法当局が捜査すると報じられた)。
それ以外に、観戦チケットとスタジアム内のラウンジでの飲食を組み合わせた「ホスピタリティパッケージ」というプランが用意されており、こちらは抽選ではなく、在庫があれば購入できる。ピッチサイドの席や完全個室にダイニングを組み合わせプランは企業の接待用で、数百万円から1000万円以上するが、会場内のブースで軽食が提供されるエントリーランクでは30万~50万円程度だった。このホスピタリティパッケージも需給によって価格が変動し、決勝リーグ(ベスト32)のあまり人気のない組み合わせ(7月3日のオーストラリア×エジプト)は880ドルで売られていた。







