一生懸命動いているのに、上司が期待する方向とずれてしまう部下。その原因を能力の問題と捉えてしまいがちだが、実は単純な「情報の差」にあることが多い。

上司だけが知っている情報が、すれ違いを生む
チームで複数の商品を扱っているとき、
どの商品を優先して売るべきかという方針を、上司だけが把握しているケースがある。
会社の利益目標や役員からの指示など、
経営に近い情報は上司の手元に集まりやすく、
それが部下に伝わらないまま「頑張って売ってこい」と指示が出されることがある。
その結果、部下はお客様に喜ばれやすい商品、売りやすい商品を中心に動く。
部下の立場からすれば、それは正しい判断だ。
しかし上司から見ると、利益率の低い商品ばかりが売れてきて、
「何もわかっていない」という評価につながってしまう。
同じ場面で生まれる、二つの不満
上司だけが、商品別の粗利や、役員からの指示で「今期の課題は利益改善である」という情報を知っています。しかし、それを部下に伝えず、ただ「頑張って売ってこい」と指示を出したらどうなるか。
部下は、お客様に喜ばれやすく、売りやすい「B商品(低粗利)」を大量に売ってくるでしょう。「お客様のために頑張りました!」と報告する部下に対し、上司は心の中でこう舌打ちします。
「あいつは何もわかっていない。利益が出ないものばかり売ってきやがって」
部下からすれば「頑張ったのに評価されない」、上司からすれば「無駄な動きばかりする」。
この不幸なすれ違いの原因は、能力不足ではなく、単なる「情報不足」なのです。
だからこそ、仕事ができる上司は情報を「原則オープン」にします。
「どの情報を出そうか?」と選別している時点で、上司のバイアスがかかってしまうからです。
この場面では、上司と部下がまったく異なる不満を抱えることになる。
部下は「精一杯やったのに認めてもらえない」と感じ、
上司は「なぜ期待通りに動かないのか」と感じる。
どちらも正直な感情だが、その原因は互いの能力や姿勢の問題ではなく、
情報が共有されていなかったという、構造的な問題から来ている。
もし部下が「今期は利益改善が最優先で、粗利の高いA商品を中心に売ることが求められている」と知っていれば、
動き方はまったく変わっていたはずだ。
情報がなければ、どれだけ能力があっても正しい方向に力を向けることはできない。
情報は「原則オープン」にする
こうしたすれ違いを防ぐために、
仕事ができる上司は情報を「原則オープン」にするという。
「どの情報を部下に出すか」を選別しようとする時点で、
上司自身のバイアスがかかってしまい、
本来伝えるべき情報が伝わらない可能性が生まれるからだ。
部下を信頼して情報を共有することは、
単に親切心から行うものではなく、
チームとして正しい方向に力を集中させるための、マネジメントの基本的な行為だ。
情報を持っている側と持っていない側で生まれる認識のずれを解消することが、
部下の「的外れな動き」を減らす、最も根本的な対処法になる。
次に部下に指示を出すとき、その指示の背景にある情報を一緒に伝えることだけでいい。
(本記事は、書籍『コンサル時代に教わった 仕事ができる上司の当たり前』をもとに作成しました)














