「前の会社ではトップだった」「異動するまでは評価されていた」。そんな人が、環境が変わった途端に結果を出せなくなることは珍しくない。一方で、これまで評価されなかった人が、転職や部署異動をきっかけに突然活躍し始めることもある。この違いは何か?

「自分は優秀だ」と勘違いしている人の特徴・ワースト1Photo: Adobe Stock

「自分は優秀だ」と勘違いしている人

「前の会社ではエースだったのに、転職したらまったく通用しない」「部署異動した途端、評価が急に落ちた」。そんな人を見たことはないだろうか。逆に、以前は目立たなかった人が、転職や配置転換をきっかけに急に活躍し始めることもある。

この違いを見て、「能力が落ちた」「本当は実力がなかった」と考える人は多い。しかし、それは違う。

「能力」と「天才状態」は違う

僕が書籍で紹介している才能論の中に「カード思考」がある。人は誰でもさまざまな「カード」を持っていると考える方法だ。「発想力」「行動力」「調整力」「人を巻き込む力」。コネや見た目のキレイさ、声の良さだってカードだ。

しかし、カードは持っているだけでは意味がない。カードが強いのは、その場がカードを必要としているときだけだ。つまり、能力があるから活躍するのではない。持っているカードと環境が噛み合った結果、「天才状態」に入っているだけなのである。

優秀だったのではなく、ハマっていただけ

書籍『天才になれなかった全ての人へ 自分だけの武器が見つかる才能論』の中で、僕は「天才」を次のように定義している。

「天才とは、生まれつき特別な能力を持った人ではない。自分のカードが環境とかみ合い、力を自然に発揮できている『状態』なのである」

たとえば、スピード重視の会社では、即断即決できる人が評価される。一方で、慎重さが求められる会社では、その同じ人が「雑な人」と評価されることもある。営業では無敵だった人が、管理職になった途端に苦戦することも珍しくない。本人は変わっていない。変わったのは、求められるカードだけだ。

だから、転職しただけで評価が変わる。部署が変わるだけで成果が変わる。上司が変わるだけで働きやすさが変わる。さらに言えば、時代が変わるだけでも状況は一変する。SNSが普及したことで、「発信力」のカードの価値は何倍にもなった。AIの登場で、「単純作業」のカードは以前ほど価値を持たなくなった。同じ人でも、活躍できるかどうかは環境次第なのである。

勘違いする人は「環境」を見ない

「自分は優秀だ」と思い込んでいる人ほど、「自分がすごいから成功した」「自分の実力だから評価された」。そう考えてしまう。

しかし、本当に成長し続ける人は違う。「今、自分はたまたま天才状態に入っているだけかもしれない」「このカードは別の会社でも通用するだろうか」「時代が変わったら、このカードの価値はどうなるだろうか」。そう考え続ける。だから、環境が変わる前から新しいカードを集め、自分のカードを更新し続けることができる。

自分のベテランになれる人は勘違いしない

「自分のベテラン」とは、自分という乗り物をよく知ることだ。

実は自分は、自分のことをほとんど知らない。どんなカードを持っているのか。どんな環境で天才状態に入るのか。そして、その状態が永遠ではないことまで理解している。

最後に、実はこれは希望の話でもある。今活躍できていない人も、カードを発揮する場さえ変われば、一気に「天才状態」に入る可能性を秘めていることの裏返しでもあるからだ。