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「自律神経」という言葉はよく聞くが、正確な情報を知っている人は多くないだろう。「交感神経」と「副交感神経」の違いとは?仕事のパフォーマンスと自律神経の関係を医師が解説する。※本稿は、順天堂大学医学部特任教授の小林弘幸『メンタルは肉体が9割』(宝島社)の一部を抜粋・編集したものです。
交感神経と副交感神経が
「両方高い」状態を目指そう
自律神経には「交感神経」と「副交感神経」がある。ここで注意しておきたいのは、「交感神経が高いのは悪い」「副交感神経が高いのはよい」などと、単純に分けられるものではないということです。
大切なのは、交感神経と副交感神経のどちらか一方を高めようとすることではなく、両方の働きを高いレベルで保つことです。
車に例えてみるとわかりやすいかもしれません。よく走る車には、力強いアクセルが必要です。しかし、ブレーキの性能が低かったら危険です。事故を起こしてしまうでしょう。
反対に、ブレーキだけがよく効いても、エンジンの力がなければ前に進めません。必要なときに加速でき、必要なときにきちんと止まれる。これが、安定して走れる車の条件です。
人の体も、これと同じです。交感神経がしっかり働けば、高い集中力をもって仕事に取り組めますし、生活にも張りが出てきます。
副交感神経がしっかり働けば、夕方から夜にかけて疲れをしっかりと回復できます。眠りの質が高まり、胃腸も働き、張りつめた体がゆるみます。休むべきときに休めるからこそ、次に動くための力が戻ってくるのです。
仕事ができる人は自律神経の
「トータルパワー」が高い
交感神経と副交感神経がともに高い状態のことを、「トータルパワーが高い」状態といいます。トータルパワーとは、いわば自律神経の総合力です。
交感神経が高ければ、前に進む力が出ます。副交感神経が高ければ、立ち止まって回復する力が出ます。この2つが高いレベルで保たれている人ほど、仕事でも人間関係でも安定した力を発揮しやすくなります。
実際に、優れたビジネスリーダーには、トータルパワーが高い人が非常に多いです。リーダーには、決断力や行動力が求められます。状況を見極め、決断し、人を動かし、責任を引き受ける。こうした場面では、交感神経の働きが必要です。ぼんやりしていたり、反応が鈍かったりすれば、組織を前に進ませることはできません。
しかし、ただ勢いがあるだけでは、よいリーダーとはいえません。周囲の話を聞く。相手の表情を読む。感情的になりすぎず、落ち着いて受け止める。疲れたときには立て直す。こうした力には、副交感神経の働きが深く関わっています。
トータルパワーが高い人は、攻める力と受け止める力の両方を持っています。強く進むこともできるし、柔軟に引き返すこともできる。だから、周りから見ても安心感があるのです。大きな声で人を引っ張るだけではなく、その場の空気を和ませたり、相手の緊張をほぐしたりすることもできるのです。







