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『風の谷のナウシカ』には、人間を圧倒するほど巨大な「蟲(むし)」たちが登場する。ところが現実の地球には、約100万種もの昆虫がいるとされるにもかかわらず、ゾウやクジラのように巨大化した種類は見当たらない。なぜ、これほど繁栄した昆虫たちは、大きな体を手に入れなかったのか。その意外な理由を探っていく。※本稿は、YouTuberの九和 律『生命・地球・植物・動物・宇宙をめぐる46億年の物語 科学の教養大全』(Gakken)の一部を抜粋・編集したものです。
100万種もの昆虫が
地球で繁栄できた理由
皆様はこの地球上の動物は、全部で何種類いると思いますか?
数えてみましょう。哺乳類6000種、鳥類1万種。爬虫類1万種、両生類7000種、魚類3万種……、昆虫100万種。
いや、昆虫多過ぎです。
そりゃあ、宇宙人もわざわざ侵略しに来ないわけです。はたから見れば、地球はほぼ昆虫まみれの星だったのですから……。
進化の最先端である哺乳類の160倍も昆虫がいるとは驚きです。究極完全無欠進化生物である哺乳類は6000種なのに、虫けらは100万種いるわけですからね。
直感的には、動物は進化すればするほど、その種の数が増えるかと思いがちですが、そうでもないのです。これは、動物のサイズにヒントがあります。サイズの大きい哺乳類は、突然変異が起きにくいので、種が増えないのです。
逆に昆虫は小さいから突然変異が起きやすく、種が多種多様に分かれやすいのです。昆虫の種類の多さは、「飛行・変態・休眠」という3大チート特性のおかげだと考えられています。これは昆虫が進化しやすく、形質の獲得機会の多さが後世に活きた結果と言えます。個体としての生態系の頂点は人間ですが、種として考えた時の頂点は昆虫です。
しかし、これだけの数がいる昆虫ですが、巨大な昆虫がいないのは不思議です。100万種もいるのに、すべてが小さいという極めて特殊な生物なのです。
昆虫はいったいなぜ
「巨大化」出来ないのか?
まずは、簡単に生物の最大サイズを比べてみましょう。たとえば、哺乳類最大はクジラで体長約30m、魚類最大はジンベエザメで体長12m、それに比べて、昆虫最大はせいぜい25cmと異様に小さいです。
真っ先に思いつく説は、昆虫が大きいと空を飛べないからという説です。
基本的に生物は海にいる生物の方が大きいです。これは海中の方が浮力が働くので自重で潰れにくいからです。しかし同じ飛ぶ動物である鳥類の最大サイズは3mもあります。つまり、別に飛ぶために小さいわけではないのです。
だとすると、昆虫が小さいのはもったいない気がしてきます。科学者の中には「全生物を同じサイズで戦わせた時、最強は昆虫だ」という人も多いです。確かに100万種もいる昆虫が大きくなれば、一瞬で地球を支配しそうですよね。
昆虫のサイズが小さい理由には、定説が2つあります。
1つは、骨がないからという説です。
正確には、背骨がないという意味です。昆虫を含む背骨がない動物は無脊椎動物と呼ばれ、脊椎動物に比べ、総じてサイズが小さいのです。では、どうやって体を支えているのでしょうか。昆虫は、自分の体を殻で支えています。これを外骨格と言います。プリンのカップみたいなものです。柔らかい中身を、硬い殻で支えています。
つまり、昆虫は、殻にこもっているせいで、自分が巨大化出来ないのです。ちなみに、私たち人間のような内側の骨は内骨格と言います。骨の外側に肉がついていく我々脊椎動物は、サイズが骨に影響されにくいです。しかし昆虫は自分の骨である殻の中に肉があるので、中身がパンパンになってしまうため、どうしても殻のサイズに影響されてしまいます。







