小学校から企業研修、さらには少年院まで、さまざまな現場で教えてきた小説家が教える、世界一やさしい「言語化」にまつわる授業。本記事では、子どもも読めて、大人に刺さる『小学生でもできる言語化』から、著者の田丸雅智氏にヒントをうかがった。(構成/ダイヤモンド社・秋岡敬子)

「自己肯定感が低い子」の親がやりがちなNG行動・ワースト1Photo: Adobe Stock

Q.「自己肯定感が低い子」の親に共通する“ふるまい”はありますか?

――書き方講座には、親御さんの勧めで参加する子どもたちも多いと思います。そんな中で、「この子は自己肯定感が下がってしまいそうだな」と感じる子や、その背景に親御さんの関わり方が影響しているのではと思う場面はありますか?

「親の期待」が子どもの軸になる怖さ

田丸雅智氏(以下、田丸):そうですねぇ……なくはないです。

 たとえば、「将来の夢は、東大に行くこと」みたいな話です。

 先にお伝えしておきますと、その時点でダメということでは、断じてないです。

 その上で、そうおっしゃるお子さんの中に、そこから先がないように見えるケースがあります。

 ゴールが東大合格となっている感じで、そんなときはちょっと心配にはなりますね。

 たとえば、「夢が見つからないから、とりあえず勉強をがんばっておく」というのは、大いにありだと思っています。

 がんばった経験は糧になり得ますから。

 ただ、合格がゴールになってしまっていると、そこで燃え尽きてしまったり、その後につながっていかなくなってしまう可能性が決して低くないと思っています。

 実際、そういった方を僕自身が周りで見てきました。

 なので、個人的には「東大に入って、こういうことをしたい」まで、ぜひ考えてほしいなぁと思っています。

 とはいえ本人が幸せならいいし、温かく見守らせてもらいたいという感じです。

「子どもの自己肯定感を下げる親」の共通点

――田丸さんの書き方講座では、つい親御さんがお子さんに口出ししてしまうこともあると仰っていましたよね。

田丸:迷っている子に対して「こうしたらいいじゃん」「こっちのほうがいいよ」という感じで、周りが“一択の答え”を与えすぎるようなケースですね。そうなると、どうなるか。

 結局、答えを自分の中に探さなくなるんです。

 自分で決めるんじゃなくて、相手に正解を求めるようになってしまう。

 子どもが自分で書いたあとに、「これでいいですか?」と聞いてくる。

 それが最終確認の意味ならいいんですけど、そうじゃなくて、「あなたの“正解”を教えてください」になってしまっている感じです。正解なんて、本来はないのに。

 僕はそれがすごく怖い。思考停止につながったり、自分を見失ったりするからです。

 だから、そうならないように「あなたはどう思う?」を大事にしたい。

 迷っていたらサポートもしますし、選択肢もたくさん出させてもらいます。

 ただし提示の仕方は、一択の「これが正解」ではなく、選択肢を並べたうえで「他でもいいよ」という形にすることを大切にしています。

――『小学生でもできる言語化』でも、「言葉にしたことで、考えた気になってしまう危険性」が紹介されていますよね。親が正解を与え続けるよりも、「あなたはどう思う?」と問いかけ、自分で考えて決める経験を積ませることが、自己肯定感を育てる第一歩なのかもしれませんね。

(本記事は、田丸雅智著『小学生でもできる言語化』の著者インタビューです。)