「部下を評価するのがヘタな上司」の特徴・ベスト1Photo: Adobe Stock

指示を出した際、何よりも自分からの依頼を最優先して真っ先に仕上げてくる部下を「忠実で優秀だ」と評価している管理職は多い。しかし、その評価は適切なのだろうか? ビジネスパーソン17万人を分析してわかった「本当に評価されている人たち」の意外な特徴を明かそう。(構成/ダイヤモンド社・石井一穂)

あなたなら、「どちら」を評価する?

あるケースを考えてみてほしい。
いまは水曜の13時。
上司であるあなたは、「今日中に仕上げてもらいたい仕事」を部下に依頼した。

しかしその部下は、重要な顧客からの依頼も請け負っていた。
それも、「今日中にお願いしたい」と言われているそうだ。

あなたの依頼は30分で完了するが、重要顧客からの依頼は60分かかる。

①上司である、あなたからの依頼
②重要顧客からの依頼

どちらを優先する部下を、あなたは評価するだろう?

「評価がヘタな上司」の特徴

「上司ファースト」の従順な姿勢を、忠誠心や優秀さの証として高く評価し、引き上げたくなる上司は多い。

だが、ここには大きなデメリットが隠されている。

上司の機嫌や内向きの都合ばかりに気を取られている若手ほど、本当に優先すべき「顧客」や「本質的な成果」を後回しにし、ビジネスの現場で最も重要なチャンスを逃してしまっていることが多い。

組織の「中」を向いてばかりいる「イエスマン」を評価してしまうと、顧客への対応が疎かになる。

結果として、組織やチームの業績が傾いていくという最悪の事態を招きかねない。

「評価されている人たち」の共通点

では、実際に世の中の企業で評価されている人たちは、先ほどのような状況で、どう判断するのだろう。

815社のビジネスパーソン17万人の行動記録と評価データを分析したところ、意外な結果が見えてきた。

評価されている人たちの多くは、上司への忖度ではなく、重要顧客への対応を優先しているのだ。

期待されている人たちは、迷わず②を選びます。
 

私は、上司からの指示を先にやる人が出世すると思っていました。しかし会社から期待されている人は、重要顧客からの依頼を優先します。
 

調査でも、期待されている人の70%が、重要な回答や提案書を優先的に集中して仕上げているとわかりました。
――『815社17万人を分析してわかった 会社から期待されている人の習慣115』(越川慎司 著)より

「人を評価するのがうまい上司」が考えていること

「上司を待たせるなんて、けしからん」

そう考える管理職は少なくない。

しかし、実際に昇進している人たちは、自らのパフォーマンスが最大化する時間帯、すなわち「脳のゴールデンタイム」を計算して、仕事の優先順位を決めているのだ。

人の脳は前頭前野の働きが活発な9時から15時までの6時間に集中力のピークを迎えるのです。
 

だから期待されている人たちは、脳の集中力が高いうちに、重要な顧客対応や提案書作成といった判断力や創造性を要する業務を優先することで質の高い成果を生み出そうとします。
 

先ほどの状況の場合、重要な資料作成や顧客対応を優先するのはこのためです。疲れた頭で考えるより、先に仕上げた方が正確さもスピードも増し、結果的に顧客満足度も高まります。その後で上司の依頼に取り組んでも15時までのゴールデンタイム内に完了できるため、両方とも高い集中力で処理できます。
 

これが、効率も成果も最大化される合理的な判断というわけです。
――『815社17万人を分析してわかった 会社から期待されている人の習慣115』(越川慎司 著)より

上司の機嫌取りのために、自分のエネルギーや最も貴重な集中時間を差し出す人。

これを評価してしまうのが、「人を見る目がない上司」の特徴だ。

自分の都合や上司へのアピールを優先し、重要な顧客対応を「後回し」にする人は、管理職になってからも同様の過ちを犯す。

顧客不在の「内向きな政治」に終始する組織ができあがり、現場のモチベーションは低下し、競合他社にあっさりと敗北していく。

生産性の高い時間を顧客のために使い、合理的な判断で確実な成果を最大化できる若手。

それこそが、次の組織を力強く牽引するリーダーとして「本当に評価し、昇進させるべき存在」なのである。

(本稿は、越川慎司著『815社17万人を分析してわかった 会社から期待されている人の習慣115』の内容を抜粋・編集した記事です)

越川慎司(こしかわ・しんじ)
株式会社クロスリバー 代表取締役社長
日系通信会社や外資ベンチャーなどを経て2005年にマイクロソフト米国本社へ入社。その後、日本マイクロソフトの役員としてExcelやPowerPointなどの事業責任者を務める。2017年には週休3日・複業を実践する会社、株式会社クロスリバーを設立し、800社以上の働き方改革を支援。年300回以上提供する企業向けオンライン講座の受講者満足度は平均96%、行動に移す受講者は95%以上。著書は『世界の一流は「休日」に何をしているのか』(クロスメディア・パブリッシング)や、『AI分析でわかった トップ5%社員の習慣』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)など33冊、累計130万部。NHK、TBS、テレビ東京、PIVOT、NewsPicksやReHacQなどメディア出演多数。