ChatGPTなど生成AIの普及で、これからの子どもに必要な能力は大きく変わります。AI時代に本当に伸びる子は、テストで高得点を取る子ではなく、自分の考えや状況を言葉で伝えられる子。AIは人間の「言葉」で動くからこそ、言語化力の差が、そのままAIを使いこなす力の差になります。ゲームを通じて、小学生の子どもが楽しく言語化力を身に付けられると話題の一冊『12歳までに身につけたい「ことば」にする力 こども言語化大全』(ダイヤモンド社)の著者で文章の専門家・山口拓朗氏が親御さん向けの記事として書き下ろします。

【教育の新常識】AI時代に伸びる子は「勉強ができる子」ではなかったPhoto: Adobe Stock

AI時代に言語化力が必要になる3つの理由

「AIが普及すれば、言葉の力は必要なくなるのでは?」。
 そう思う親御さんもいるかもしれません。しかし実際は逆です。AI時代においては、言語化力の高い子どもが圧倒的に有利になります。その理由を3つお伝えします。

 まず、AIは「あいまいな指示」には、あいまいな答えしか返しません。
「いい感じにして」「なんかおもしろいやつ」では、AIは漠然とした、使い物にならない出力になりがちです。一方で、「30歳男性、営業職をしています。夜、中途覚醒が多く熟睡できません。一晩に3、4回、目が覚めてしまいます。1日30分は必ず歩き、就寝前にゆっくりお風呂にも浸かっています。なぜ熟睡できないのか、考えられる原因を挙げてください」のように、課題や対象・目的・条件を具体的に言語化できれば、AIから有益な出力を得ることができます。

 AIがどれだけ賢くても、それを動かすのは人間の言葉です。状況や考え、気持ちなどを詳細に語れる子どもが、将来、AIという強力なツールを味方につけられるのです。

 次に、AIが得意なことと、人間が得意なことは異なります。
 情報収集、要約、翻訳などは、AIが圧倒的に速く正確にこなします。一方で、AIは、その人の体験から生まれた考えや気持ち、独自の視点や感性などを、言葉にすることを苦手にしています。

 言語化力が高い子どもは、自分の経験や感情を言葉で表現することができます。それはAIに代替されない価値です。将来どんな仕事に就いても、「自分にしか語れないこと」を言葉にできる力は、大きな武器になります。

 さらに、AIが出した答えを「評価・判断する力」も、言語化力と深く結びついています。
 AIは便利ですが、もっともらしい誤情報を自信満々に出力してくることも少なくありません。「この答えは本当に正しいか」「別の見方はないか」と批判的に読み解くためには、自分自身の思考を言語化する力が必要です。言語化力が高い子どもは、AIの答えを鵜呑みにせず、それを材料として使いながら、自分の頭で考え、判断することができます。

 AI時代に求められるのは、AIに使われる人間ではなく、AIを使いこなす人間です。
 
その差を生むのが、言語化力です。「AIがあるから言葉の力は必要ない」のではなく、「AIを最良のパートナーにするためにも言葉の力が必要」なのです。子どもの言語化力を育てることは、AI時代を生き抜くための、最も本質的な準備と言えるでしょう。