『羆嵐』(c)吉村昭(原作)加藤キャシー(漫画)/新潮社
「幸雄がやられた――」日本史上最大の獣害事件「三毛別羆事件」を題材に、人間と自然の圧倒的な力の差を描くマンガ『羆嵐』。前話から半年後、大正4年12月。三毛別の区長・大川嘉吉のもとへ、養子の幸雄が襲われたとの一報が届く。開拓民たちは愛する家族を救うため山へ向かうが、そこには想像を絶する恐怖が待ち受けていた。戦慄の実話をもとに描かれる第2話を掲載する。
【あらすじ】
「幸雄がやられた――」
半年前、羆撃ち・山岡銀四郎とともにヒグマの脅威を退けた大川嘉吉のもとへ、養子の幸雄が襲われたとの知らせが届く。
嘉吉は急いで六線沢へ駆けつけるが、島川家では幸雄が命を落とし、養母・キヨの姿も消えていた。
現場を調べた男たちは、家の荒らされ方や痕跡から、人間ではなくヒグマによる襲撃だと判断する。さらに、冬眠できずに冬の山をさまよう「穴もたず」と呼ばれる凶暴なヒグマが、キヨを山へ連れ去った可能性が高いことを知る。
悲しみに打ちひしがれる島川は、幸雄との思い出を語りながら亡骸を抱き締め、嘉吉も「せめて母ちゃんだけは必ず連れ戻す」と固く誓う。
やがて三毛別と六線沢の男たち約50人が集結し、わずか5丁の猟銃を手に救出へ向かう。相手がヒグマであっても、この人数なら立ち向かえると誰もが信じていた。
しかし、山中で彼らの前に現れたのは、これまで見たどのヒグマとも比べものにならない巨体だった。胸には特徴的な「袈裟懸け」の傷が刻まれ、圧倒的な威圧感を放つその姿に、一同は息をのむ。
焦った男たちは十分に引きつける前に発砲する。しかし、5丁の猟銃のうち発砲できたのは1発だけで、その弾も命中せず、残る4丁は不発に終わる。圧倒的な怪物を前に、開拓民たちの希望は早くも打ち砕かれようとしていた。
※マンガ内にショッキングな描写があり、一部を黒塗り加工しています。
『羆嵐』(c)吉村昭(原作)加藤キャシー(漫画)/新潮社
『羆嵐』(c)吉村昭(原作)加藤キャシー(漫画)/新潮社







