ILLUSTRATION: DANIEL HERTZBERG FOR WSJ
人工知能(AI)を巡って最近起きたいくつかの注目すべき出来事は、いずれも同じ方向性を示唆している。AIは手に入りやすい商品(コモディティー)になりつつある、ということだ。
まず、日常的な作業の大半をこなせるAIの価格が大幅に値下がりした。クラウド上やユーザー端末上で動作する軽量モデルが登場したためで、米アルファベット傘下グーグルや米アップル、中国のAI企業などの最新モデルがまさにこれだ。
中国の習近平国家主席は16日に上海で演説し、誰でも自由に利用・再学習できる「オープンウエート」型のAIモデルを投入し続けることで、AI分野における米国の優位性に対抗できると語った。今や中国製の「GLM 5.2」や「Kimi K3」などの性能は、米テック企業の最上位モデルに近づいている。
また、フェイスブックを運営する米メタ・プラットフォームズは、利益が出やすいコーディング用の高性能モデルを投入。米オープンAI、アンソロピックの2強と、両社が強みを持つ分野で対抗できる可能性を示した。
さらに、稼働するデータセンターが増え、AIがより効率的に提供されるようになれば、計算能力のボトルネックは緩和されそうだ。一部アプリケーションでは、AIを利用する際の基本単位であるトークンの供給が需要に追いつきつつある。
こうした進歩は世界にとって素晴らしいことだ。オープンAIのサム・アルトマン最高経営責任者(CEO)が、「計測不要なほど安価」なAIを目標に掲げたのはわずか1年前だ。AIは全ての仕事を奪うどころか、実際は多くの労働者の生産性を高め、現代の生活における「デジタル化による負担増」を軽減してくれるかもしれない。
だがこれはオープンAIとアンソロピックにとって朗報だろうか。両社は新規株式公開(IPO)を控えており、いずれ収益化できるかどうかは、テック大手に対して競争優位を維持できるかどうかにかかっている。AIモデルが自動車や電力のような汎用(はんよう)技術になった場合、両社が独自に提供できるものは何だろう。







