「収入も地位も上がったのに、なぜか幸福感がついてこない」――その原因は、幸福を決める要素の割合を誤解していることにあるのかもしれない。睡眠、集中力、ストレス、老化……など、幅広い有効性が認められているマインドフルネスを日本で最も広めたベストセラー『世界のエリートがやっている 最高の休息法』。その内容に最新研究と実践法を加えた『世界のエリートがやっている 最高の休息法[完全版]』が刊行された。本書には、ポジティブな感情を育てる「メッタ(慈悲の瞑想)」の実践法も書かれている。今回は、米国で30年以上診療を続ける現役の医師、著者の久賀谷亮氏のインタビューを掲載する。(構成/小川晶子、ダイヤモンド社書籍編集局)
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遺伝子が幸福の半分を決めている
――「幸せになりたい」と誰もが願いますが、そもそも人間の幸福とは何で決まるのでしょうか。本書『世界のエリートがやっている 最高の休息法[完全版]』の中で、幸福に関する衝撃的なデータが紹介されていますね。
久賀谷亮氏(以下、久賀谷):はい。ポジティブ心理学の有名な調査で、人間の幸福の48%は「遺伝子」によって規定されているという結果が出ています。生まれ持った性質が幸せを感じやすいかどうかを半分近く決めているというのです。
――残りの半分は何によって決まるのでしょうか? 経済的状況や、職業、社会的地位の影響が大きそうに思いますが……
久賀谷:そうですよね。ところが意外なことに、財産や社会的地位の影響はわずか10%にすぎないと言われています。
――たった10%というのは驚きです。
久賀谷:では、残りの42%は何か。それが個人の「行動や気持ち」です。
どう行動し、どう考えるかで幸福度が大きく変わるのです。遺伝子は変えられませんし、財産や社会的地位は今すぐどうこうできるものでもないかもしれません。
でも、行動や気持ちは自分で変えることができます。幸せになりたいと思ったら、どう生きるかにフォーカスしたほうがよっぽどいいと言えるかもしれませんね。もちろん、幸福は人それぞれなのでひとつの考え方でしかありませんが。
幸福度を高める「感謝」
久賀谷:そして、幸福度を高める生き方の因子として繰り返し登場するのが「感謝」です。
他人や社会に対して感謝する気持ちを持っている人の方が、幸福度が高いということは、脳科学の分野でもデータで示されています。
――感謝の気持ちが、脳や心にポジティブな影響を与えるのですね。
久賀谷:その通りです。感謝の気持ちは、怒り、恐怖、嫉妬など、さまざまなネガティブな感情を溶かすんです。
本書では、他人に対する愛情や感謝を内面に育てる「メッタ(慈悲の瞑想)」という手法を紹介しています。
「感謝のメッタ」は、通常のマインドフルネス瞑想を10分続け、10個の感謝を心の中で思い浮かべるというものです。シンプルですが、ポジティブな感情を自分の中に育てる技術と言ってもいいでしょう。ポジティブな感情は、ネガティブな感情を打ち消し、不眠やストレスを改善します。人間関係、スポーツ、ビジネスなどさまざまな場面でプラスに働くこともわかっています。ぜひやってみてください。



