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「ヴィーガン」と聞くと、肉や魚を食べず、どこか細身の人をイメージする人もいるだろう。ところが、ほぼ草しか食べないウシやキリンは、巨大な体とたくましい筋肉を持っている。筋肉をつくるにはタンパク質が欠かせないはずなのに、彼らはいったいどこからその材料を得ているのか。草食動物の驚くべき体の仕組みに迫る。※本稿は、YouTuberの九和 律『生命・地球・植物・動物・宇宙をめぐる46億年の物語 科学の教養大全』(Gakken)の一部を抜粋・編集したものです。
バランスよく食べる人間より
偏食家のほうがガタイがいい
突然ですが、皆様は居酒屋には行きますでしょうか。
私はたとえ大皿であっても、他人に情けをかけず唐揚げにレモンをかけます。
さて、居酒屋のメニューを思い出しても分かるように、ヒトは食生活が世界で最も多種多様な動物です。正真正銘、何でも食べる動物と言えます。野菜も、肉も食べる、最強の雑食動物ですね。
しかし、世界を見渡した際に、人間ほど健康に気を遣って食事する動物はいません。たとえば草食動物は、ほぼ草しか食べていません。しかし、すこぶる健康に育つどころか、なんとムキムキに育ちます。
これ、すごく不思議じゃないですか?草食動物は、肉を食べていないのに、なぜムキムキに育つのでしょうか。筋肉の元になるタンパク質は、草にはほとんど含まれていないのに、どこから得ているのでしょうか?もしかして、隠れてプロテイン飲んでジムに行ってるのでしょうか。ジャングルのジム、ジャングルジム。なんちゃって。
それはさておき、なぜ動物によって食べるものが違うのでしょうか。
結論から言えば、その動物が何を食べるのかで重要なのは、「体内にいる微生物の違い」です。
自然界では、肉食動物が草食動物を食べていることから、直感的には肉食動物の方が優れていると思いがちです。肉食動物になれなかった者が、草食動物になるのだと。しかし実際は違います。実際、肉を食べるよりも、草を食べる方がはるかに難しいのです。
というのも、植物を体内で消化し、分解することが非常に難しいからです。これは、植物の細胞壁を構成するセルロースが硬過ぎるためです。セルロースを構成する分子の結合が非常に複雑で解けないのです。まあ、植物は動けないのですから、消化しにくく食べられにくいように進化するのは妥当ですね。
草食動物が草を消化できる
カギは「腸内微生物」
もちろん、人間が食べる野菜にもセルロースは含まれています。ただ、正確に言えば「セルロースが少なく、人間でも消化出来る植物」が「野菜」なのです。道端の草などは、そのほとんどがセルロースであるため、人間には消化出来ません。
では、なぜ草食動物には消化出来るのでしょうか。
草食動物は、長い消化管を持っているからです。ここで、「陸上生物で身体の大きい動物ランキングTOP5」を紹介しましょう。
1位 アフリカゾウ 約6000㎏~1万kg
2位 アジアゾウ 約4000kg~5000kg
3位 シロサイ 約2000kg~3600kg
4位 カバ 約1500kg~3200kg
5位 キリン 約800kg~1900kg
ご覧の通り、すべて草食動物です。草を消化するために、胃や腸を長くした関係で、身体自体も大きくなりました。
消化しにくいのであれば、長い時間をかけて消化出来るように対応したのです。
では、なぜ消化器官が長いと消化出来るのでしょうか。それは消化器官内に大量の微生物を住まわせられるからです。実は、植物の大半を分解しているのは、消化器官内の微生物なのです。草食動物自身が、直接消化しているのではありません。
つまり食性の違いは、体内の微生物の違いから来ている、というわけです。草を分解出来る微生物が消化器官内にいる動物が、草食動物なのです。
草食動物はタンパク質を
どこから得ているのか?
人間や他の動物が草を食べられないのは、体内に分解出来る微生物がいないからです。







