どうすればお金をかけずに、売上や利益をもっと増やせるのか? この切実なお悩みに答えるのが、人気の販促コンサルタント・岡本達彦氏の最新刊『客単価アップ大事典 「つい買ってしまう」販促の仕掛け75』(ダイヤモンド社刊)です。同書は、「行動経済学×現場目線」で「つい買いたくなる」販促の仕掛けとは何かを言語化した初の書。本書が提示するのは、「お客様の購買行動そのものを変える設計とは?」です。どうすれば、「利益が残る経営」へと変われるのか? 本連載では、『客単価アップ大事典』に収録しきれなかった事例の中から、現場ですぐに導入でき、成果につながりやすい客単価アップの仕掛けを厳選してご紹介していきます。
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「まずい」ことが、なぜ「効きそう」に変わるのか
「良薬は口に苦し」というキャッチコピーとともに、あえて「にがっ!」という顔をした出演者を映すCM。
あるいはパッケージに大きく「苦味成分配合」と書かれた滋養強壮ドリンク。
本来、飲みにくさは商品の欠点になるはずなのに、なぜかそれを堂々と売り文句にしている。そんな光景を見たことはありませんか?
実は、この「苦さ」の強調は、味の好みを伝えるための表現ではありません。お客様の「効いている感覚」そのものを作り出すための、非常によく考えられた販促の仕掛けなのです。
「苦い=強い成分が入っている」という思い込み
(プラセボ効果)
人は、実際の薬効成分の量や作用を直接確かめる手段を持たないまま、商品の効果を判断しなければならない場面が多くあります。そこで頼りにしてしまうのが、味や香りといった「感覚的な手がかり」です。
「苦い」「刺激が強い」という感覚は、私たちの経験の中で「何か強い成分が入っている」というイメージと結びついています。そのため、実際の薬理効果とは関係なく、苦味そのものが「効きそうだ」という期待感を生み出します。
この期待感が、実際に体感される「効いた気がする」という感覚に影響を与える現象は「プラセボ効果」と呼ばれ、味覚のような感覚情報が、効能の実感そのものを底上げすることが知られています。
「飲みやすい」は、かえって不安を生む
(感覚と効能の連想)
もう一つの理由は、逆の視点から見えてきます。もし滋養強壮ドリンクが「フルーツジュースのように甘くて飲みやすい」味だったらどうでしょうか。
「本当にこれで効くのだろうか」「甘いだけの飲み物なのでは」と、かえって効果への疑念を抱かせてしまう可能性があります。
苦味や独特の風味をあえて残し、それを前面に打ち出すことは、「これは嗜好品ではなく、しっかり効く医薬品的な存在である」というシグナルを、味覚を通じてお客様に伝える役割を果たしているのです。
他の商品でも使える
「感覚を効能の証拠にする」設計
味や刺激を「効いている証拠」として提示するこの手法は、他の商品にも応用できます。
・入浴剤や温感グッズ:
「じんわり温かい」「ピリッとする」といった肌感覚を強調し、パッケージにも体感が伝わる表現を大きく記載する
・育毛剤やスカルプケア商品:
使用後の「スースーする清涼感」を売り文句にし、その刺激を「頭皮に成分が浸透している証拠」として印象づける
・のど飴や漢方系のど薬:
あえて「独特の生薬の香り」を消さずに残し、その香りの強さを「本格的な効き目」の裏付けとしてアピールする
まとめ
滋養強壮ドリンクが「苦さ」を売り文句にするのは、飲みにくさを我慢してもらうためではありません。
・「プラセボ効果に類似した心理」により、苦味という感覚そのものが「効いている」という期待感を生み出し
・「飲みやすさ=効果への疑念」という逆の連想を避け、あえて独特の風味を残すことで
・味覚という直接確かめられない領域において、感覚を「効能の証拠」として機能させている
という、お客様自身の体感を通じて商品価値を実感してもらうための、味覚を活用した販促戦略なのです。
販促コンサルタント
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