「楽しく働いてくれれば、それでいい」。部下を思いやって、そんな言葉をかける上司がいます。しかし、その優しさが部下から「仕事で通用する力」を奪っているとしたらどうでしょうか。いい上司とは、目の前の部下をラクにさせる人ではありません。では、部下を「使えない社畜」にしてしまう上司には、どんな特徴があるのでしょうか。この連載では、書籍『リーダーの仮面』をベースに、全ビジネスパーソンに必須の「リーダーシップ」のあり方について指南する。(構成/ダイヤモンド社・種岡 健)
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「使えない社畜」を生む上司
「無理に成長しなくてもいい」
「楽しく働いてくれれば、それでいい」
部下を思いやって、そんな言葉をかける上司がいます。
たしかに、部下からすれば優しい上司に見えるでしょう。しかし、その優しさが、5年後、10年後の部下から「仕事で通用する力」を奪っているとしたらどうでしょうか。
いい上司とは、目の前の部下をラクにさせる人ではありません。
では、部下を「使えない社畜」にしてしまう上司には、どんな特徴があるのでしょうか。
ワースト1:「ラクに働きたい」を真に受ける
『リーダーの仮面』で、私は次のように書きました。
部下がそのリーダーの下にいることが自分にとって「利益」だと判断すれば、「ついていきたい」となります。
「利益にならない」と思えば、いい人であっても、ついていきません。
――『リーダーの仮面』より
上司は、部下から好かれることを目指してはいけません。
部下にとって本当に必要なのは、「優しい上司」ではなく、自分に利益をもたらしてくれる上司です。
もちろん、「利益」とは給料だけではありません。
仕事を通して能力が上がる。
以前より大きな仕事ができる。
成果を出して評価される。
市場価値が高まる。
こうした成長も、本人にとって大きな利益です。
「厳しい上司」がいい上司になることもある
仕事に厳しくても、「数年後には成長できるはずだ」と、利益を感じさせることが大事です。
部下は、友達や恋人を探しに会社に来ているわけではありません。
ビジネスをしに、稼ぐために来ているのです。
――『リーダーの仮面』より
目の前の部下に嫌われたくない。
そう思えば、厳しいことは言いにくくなります。
しかし、上司が指摘を避ければ、部下は同じ失敗を繰り返します。少し難しい仕事を任せなければ、できる仕事も増えません。
その結果、5年、10年と会社にいるのに、社外では通用する能力が身についていない。
それこそが、「使えない社畜」を生み出すマネジメントです。
本当の優しさとは、部下の現在の気分をよくすることではありません。
将来の部下に利益を残すことなのです。
「楽しく働きたい」を真に受けない
しかし、その言葉を真に受けてしまっては、リーダー失格です。
本当に楽しいことをやりたいだけなのであれば、それはプライベートで友達や恋人と遊んで楽しんでいるはずです。
「ラクに働けるほうがいい」と本心で思っているだけなのであれば、責任の少ないフリーターなどの働き方をしているはずです。つまり、どちらもリーダーが考えるべき問題ではありません。
それに、部下も本心では「楽しいだけじゃダメ」「ラクなだけじゃダメ」とわかっているはずです。
人は、つねに言行一致しているわけではありません。
本音と建前があります。リーダーの仮面も、まさに建前を利用したマネジメント方法です。
組織に所属している以上、本心では「成長意欲があること」を前提にリーダーはマネジメントし、部下を「使えない社畜」にしないようにすべきです。仮面をかぶり、「利益が何か」を見極めましょう。
――『リーダーの仮面』より
人は誰でも、目の前だけを見れば「ラクなほう」を選びたくなります。
難しい仕事より、簡単な仕事。
厳しい指摘より、優しい言葉。
高い目標より、簡単に達成できる目標。
しかし、それをすべて認めることが、部下のためになるとは限りません。
リーダーは、部下の言葉をそのまま受け入れるのではなく、「この人にとって長期的な利益は何か」を考える必要があります。
「仮面」をかぶり、厳しさと向き合う
部下を「使えない社畜」にしてしまう上司。
その特徴は、部下の「ラクに働きたい」という言葉を真に受け、目の前の快適さばかりを与えることです。
いい上司は、部下をラクにする人ではありません。
仕事を通して成長させ、数年後に「この上司の下で働いてよかった」と思える利益を残す人です。
目の前で好かれることより、未来の部下にとってプラスになることを選ぶ。そのために、リーダーになった瞬間から仮面をかぶる必要があるのです。




