なぜ自虐が好まれるのかといえば、先の見えない時代を生きる中で、思い通りにいかない状況を笑い飛ばすことで、気持ちを軽くしたいという空気があるのでしょう。景気が低迷する時代に「こんな素敵な場所に行きました」と声高に語ることは、少し現実感が薄く、周りから浮いた印象を与えることもあるでしょう。

 だからこそ、「自然に癒やされる旅を期していたのに、隣県のにぎやかな繁華街が当たってしまった」といった肩の力の抜けたエピソードの方が、今の感覚にしっくりくるのかもしれません。つまり、選ばない消費の「何がくるか分からない」という特徴は、こうした時代の気分に寄り添いながら、人と人をつなぐ共感のきっかけにもなっているのだと思います。

福袋から「酒ガチャ」へ
サプライズ消費が進化

 選ばない消費のサプライズを象徴する例として、福袋を取り上げてみましょう。福袋といえば、バブル期に特に盛り上がりを見せましたが、今でも年末年始になると、百貨店などでは定番の目玉商品として販売されています。

「福袋」という名前は、「福」を運んでくる袋という意味ですが、その「福」とは何かと考えると、1つには「この値段でこんなに高価なものが入っているなんて」という、お得感にあります。

 ある百貨店関係者に聞いた話では、福袋は意図的に、得な袋と、そうでもない袋を混在させ、全体として店側に損が出ないよう設計されているそうです。つまり、袋の中に入っている個々の商品にも当たり外れがあり、いわば二重のガチャが用意されているのです。

 在庫をさばく目的で福袋が用意されることもありますが、いずれにしてもお得感を軸にした商品であることを考えると、不景気の時代にはむしろ求められやすい一面があるといえます。

 さらに、今のSNS時代の感覚に照らせば、お目当てが外れても「福袋を買ったら、こんなものが入っていた!」と、その意外性をむしろ楽しむことができます。

 福袋は中身が分からないものが一般的ですが、オンライン酒屋「クランド」の「酒ガチャ」には、また少し違った演出があります。