たとえば「1本酒ガチャ」では、2100円から3700円といった価格帯で、「あなたの知らない焼酎の世界」や「食事にも合う果物のお酒」といったヒントが添えられています。
さらに、1本だけでなく3本、4本と複数本が届くガチャも用意されていて、いわば選ばない楽しみの幅がより広がっているのが特徴です。つまり、ある程度どんなお酒が届くのか想像しながらも、その先にサプライズが待っているという仕組みです。
1つ先を行く選ばない消費のかたちといえ、考え抜かれた提案の工夫が感じられます。
自分では手に取らない書籍と
出会える「本ガチャ」が面白い
そして、私がガチャの中でも特に注目しているのが、オンラインの「本ガチャ」です。リアルの書店の魅力といえば、やはり「思いがけない本との出会い」、いわゆるセレンディピティがよく語られますが、オンラインの「本ガチャ」でもその良さがうまく活かされています。
『選ばない消費 AI時代の暮らしと価値観』(久我尚子、集英社)
書店に足を運ぶときも、どんな本と巡り合うかは店に入るまで分かりません。「本ガチャ」も同じように、届いて箱を開けるまで中身は分からず、そのドキドキ感を自宅で味わうことができます。
「酒ガチャ」は、ある程度どんなジャンルが届くか想像した上でのサプライズでしたが、本の場合は、どんな本が来るか想定できたとしても、実際にページを開くまでその内容や自分の興味にどう響くかは分かりません。だからこそ、良い意味で予測が裏切られる体験が待っているのだと思います。
また、本は読むという時間の中で、自分の中に新しい視点や考え方が入り込んできます。読むタイミングや自分の心の状態によって、まったく違った表情を見せるという特性もあるでしょう。
自分が読んだことのない本に触れることで視野が広がるように、自分で選ばず人にゆだねることで、思いもよらない世界を知るきっかけが生まれる。選ばない消費には、そんな優位性もあるのではないでしょうか。







