この行為そのものが、彼にとっての思考でした。
だから彼の会議は、いつもホワイトボードから始まります。
もしジョブズが、言葉だけで製品戦略を語っていたら、聞く側はそれぞれ違うイメージを持ってしまっていたはずです。
しかし、「田」の字の形の図があることで、全員の頭のなかに、同じ認識が生まれました。話がうまいとは、説明が上手なことではありません。同じ「構造」を、相手の頭のなかに置けることなのです。
話し出す前に頭のなかで
1枚だけ図を描いてみる
ジョブズは複雑な図を嫌いました。
誰でも描けるようなシンプルな図を描くことを、習慣にしていました。
会議でも、企画でも、意思決定の場でも、まず「話の構造」を描く。この習慣があったから、彼の言葉は、短く、強く、迷わなかったのです。
では、毎回わざわざホワイトボードや紙を用意して図を描かなければならないのでしょうか?
答えは、「いいえ」です。
ジョブズが習慣化していたのは、正確には「ホワイトボードに図を描くこと」ではなく、「頭のなかに構造を描くこと」なのです。
頭のなかに、「話の構造」を用意するためには、ペンもホワイトボードも必要ありません。
これが、本稿のキーワード「見えない図」の正体です。
話す前に、頭のなかで1枚だけ、図を描いてみる。
立派な資料は要りません。きれいな図も必要ありません。
たったこれだけで、話はブレなくなり、迷いがなくなり、驚くほど伝わるようになります。








