長期休暇のあと、「何から手を付ければよかったんだっけ」と仕事が止まってしまった経験はないでしょうか。実は、仕事ができる人ほど、休みに入る直前ではなく、その1週間ほど前から「休み明けの自分」のための準備を始めています。ポイントは、仕事を終わらせることではありません。仕事をスムーズに再開できる状態を作っておくことです。書籍『「今日も仕事が終わらなかった」はなぜ起きるのか? 仕事が3倍速くなる計画・実行・中断の技術』から、その具体的な方法を紹介します。

「仕事ができる人」が、休みの1週間前に始めることPhoto: Adobe Stock

「休み明け」の準備は休み前に

長期休暇の前、多くの人は「ここまで終わった」という区切りだけをつけて仕事を終えます。

しかし、それだけで終えてしまう人は、仕事ができない人です。なぜなら、休み明けにパソコンを開いた瞬間、「何を考えていたんだっけ」「次は何から始めるつもりだったんだっけ」と、思い出す作業から始めることになるからです。その仕事について考えていたことは、頭の中から消えています。

あなたの能力が下がったわけではありません。休み明けにつまずく原因は、「仕事で考えていたこと」を忘れてしまったことです。

「未来の自分」へのメッセージを残す

書籍『「今日も仕事が終わらなかった」はなぜ起きるのか?』では、この現象を「アタマ戻り」と呼び、次のように紹介しています。

こんな場面を想像してみてください。
今日は金曜日、あなたは素晴らしいアイデアを思いつきました。
「これでカンペキだ!」と確信して、気分よく退社。友人との夕食を楽しみ、月曜日を迎えます。

ところが翌週、出社してパソコンを開いたところで、固まります。
「……あれ、何を思いついてたんだっけ?」
あなたの頭の中には、もう先週のアイデアは残っていません。そうしてモヤモヤしながら、思い出せなくなった素晴らしいアイデアを思い出すのに、時間と労力を取られてしまった……。

私たちは、「忘れないように頑張ろう」と考えがちです。しかし、人は忘れる生き物です。仕事中に思いついたアイデアや、「次はこれを確認しよう」という意図は、数日経てば驚くほど簡単に消えてしまいます。それは能力の問題ではなく、人間の脳の仕様です。

だからこそ、仕事ができる人は記憶に頼りません。「忘れること」を前提に仕事をしています。

「忘れること」を前提に仕事をする

仕事ができる人が休みの1週間前から始めるのは、「中断メモ」の作成です。忘れてしまうことを前提にした「未来の自分への引き継ぎ書」とも呼べます。

中断メモとは、「ここまで終わった」という記録ではありません。「何を考えていたのか」「どんな課題が見えてきたのか」「次に何をすべきか」まで書き残すメモです。だから休み明けでも、未来の自分は思い出す時間をほとんど使わず、そのまま仕事を再開できます。

本書には、こんな言葉もあります。

「仕事をうまく進められる人は、自分が一度考えたことをムダにしません。」

休み明けにスタートダッシュを切れる人は、休み中も仕事のことを考え続けている人ではありません。休みに入る前に、未来の自分へ「考えたこと」を引き継いでいる人なのです。そのための最もシンプルで効果的な方法が、「中断メモ」なのです。