トヨタ流原価マネジメント入門、社長の「原価10%低減」方針を社員が誰一人理解も実行もしなかった会社の末路Photo:時事通信フォト

「毎年10%の原価低減」という経営方針を掲げながらも、1億円の赤字が10年も続き、銀行から融資の打ち切りを告げられた~そんな絶望的な状況に直面した企業があります。トヨタ出身のコンサルタントである堀切俊雄氏がその原因を探ると、原価低減について考え、実行している社員は“ただの1人も”いなかったそうです。儲かる会社と儲からない会社は何が違うのか?本記事では「儲かる体質の会社がやっていること」をわかりやすく解説します。※本稿は、堀切俊雄『利益を最大にする実践的手法 トヨタ流原価マネジメント』(日経BP)の一部を抜粋・編集したものです。

「原価マネジメント」とは何か?

 会社の経営とはQ(品質)、C(コスト)、D(納期・リードタイム)を追求する会社全体の活動をマネジメントすることです。このうちのC(コスト)に当たる原価(または利益)に関するマネジメントが原価マネジメントとなります。

「原価マネジメント」は、一般には聞き慣れない言葉かもしれません。原価マネジメントを端的に言えば、企業が利益を生み出すためのマネジメント、すなわち、企業が儲(もう)かるためのマネジメントです。

「原価」と聞くと、経営者や経理の仕事というイメージを持つ人が多いと思います。企業が存続・発展するためには利益を創出することが非常に重要であり、それは経営者の役割です。経理部門から定期的に会社の業績の報告書(決算書)が渡されます。この決算書である財務諸表などを理解して分析すれば、企業の利益が向上すると一般には思われています。

 しかしながら、この報告書(決算書)は企業の過去の活動(業務)の結果の集計であり、過去に遡って会社の業績を良くすることは不可能です。加えて、経理部門だけではなく、営業部門や設計部門、製造部門、人事部門、物流部門など、多くの部門の業務が原価を発生させたり、利益を生み出したりしています。

 現在行っている業務と原価(または利益)は対になっています。現在の業務と原価(利益)はリアルタイムで直結しているのです。経営者や経理部門も含めて、社員全員が現在行っている業務が会社の業績を左右しています。