自動車 “最強産業”の死闘 アンケート#8Photo:Vlad Kochelaevskiy/gettyimages

自動車業界アンケートで、自動車部品のサプライヤー138人に自動車メーカーを辛口評価してもらった。評価項目は、「役員のビジョン」「開発・商品力」「生産計画の確からしさ」「調達部品の値上げ許容度」など七つ。長期連載『自動車 “最強産業”の死闘』内の特集『自動車業界350人アンケートで示す“危機の本質”』#8では、部品メーカーから自動車メーカーへの評価を、レーダーチャートの形にして徹底分析する。サプライヤーの売上高に占めるトヨタ自動車、ホンダ、日産自動車の構成比も、5年間で激変していた。サプライヤーから取引を減らされ、そっぽを向かれつつある自動車メーカーはどこか。(ダイヤモンド編集部副編集長 千本木啓文)

トヨタ、ホンダ、日産への評価点は「格差が拡大」
サプライヤーの顧客別売上高構成比も5年間で激変!

 日本の自動車メーカーが苦境に陥っている。ドナルド・トランプ米大統領が自動車の関税率をアップした影響で、新型コロナウイルス禍の2020年以来5年ぶりに、大手7社(トヨタ自動車、ホンダ、日産自動車、スズキ、マツダ、SUBARU、三菱自動車工業)が25年4~9月期決算で最終減益となり、日産、マツダ、三菱自動車は最終赤字に陥った(詳細は『トヨタ以外「全負け」!?逆風下の自動車7社決算、トランプ関税で「日産より苦しいメーカー2社」を独自指標で浮き彫りに』参照)。

 そして残念ながら、いつの時代も、自動車メーカーの経営悪化のしわ寄せを受けるのは、自動車部品のサプライヤーだ。

 ダイヤモンド編集部は、自動車業界アンケート(下図参照)で、サプライヤー関係者にビジネスの現状を聞いたところ、「悪い」「どちらかといえば悪い」の合計は54%で、「良い」「どちらかといえば良い」の合計20%を大幅に上回った。

 同アンケートでは、「役員のビジョン」「開発・商品力」「生産計画の確からしさ」「調達部品の値上げ許容度」「サプライヤーへの支援」「技術力」「意思決定のスピード」の7項目で、サプライヤーに主要取引先の自動車メーカーを評価してもらった。

 すると、2024年に実施した同様の調査(詳細は特集『自動車・サプライヤー SOS』の#1『【自動車サプライヤー幹部250人調査】トヨタ・ホンダ・日産の「通信簿」、役員のビジョン・値下げ圧力などを辛口評価』参照)から、トヨタ、ホンダ、日産への評価点が大幅に変わっていることが判明した。

 次ページでは、部品メーカーからの自動車メーカーへの評価を、レーダーチャートの形にして徹底分析する。サプライヤーの売上高に占めるトヨタ、ホンダ、日産の構成比は、5年間で激変していた。サプライヤーから、そっぽを向かれつつある自動車メーカーはどこか。日産は24年3月、「割戻金(リベート)」の名目で、サプライヤー36社への支払いを減額していたことが下請代金支払遅延等防止法(下請法)違反に当たるとして公正取引委員会から勧告を受けた。その問題は是正されたのか。サプライヤーの本音を見ていこう。