写真はイメージです Photo:PIXTA
日本経済を元気にするには、中小企業を支援し、成長させればいい。そう考える人は多いだろう。だが、これまでの中小企業政策と雇用の動きをたどると、日本の生産性が上がらない意外な理由が見えてくる。※本稿は、名古屋商科大学ビジネススクール教授の原田 泰、駒澤大学経済学部准教授の井上智洋、上智大学経済学部准教授の中里 透『政府支出を考える』(金融財政事情研究会)の一部を抜粋・編集したものです。
中小企業を守れば
日本経済は成長するのか
日本の企業の99%以上が中小企業であり、中小企業で働いている人々は6~7割である。ところが中小企業の生産性は大企業の6割にすぎない(これらの数字は、図表5-3、図表5-4のOECDの定義によるもの。多少定義を変えても、大きくは変わらない)。
同書より転載 拡大画像表示
同書より転載 拡大画像表示
したがって、中小企業の生産性が低く、利益があがらず、賃金が低いことが問題とされている。それゆえ、中小企業を保護し、発展させなければならないと広く主張されている。
しかし、中小企業で働く人が多いから中小企業を保護し、その生産性を上げなければならないと考える必要は必ずしもない。なぜなら、中小企業で働く人が大企業に移っても、社会全体の生産性や賃金は上昇するからである。
もし、そうならないとすれば、なぜ人々が生産性や賃金の高い大企業に移れないのかを明らかにしなければならない。
中小企業保護政策は
雇用に何をもたらしたのか
三輪芳朗(注1)は、参入・退出が容易であれば中小企業の保護は中小企業への不必要な資源の流入を引き起こし、非効率な資源配分をもたらすだけであると指摘している(岩本康志も同様の指摘をしている、注2)。
であれば、むしろ労働者がより高い賃金を求めて移動すれば、生産性の低い中小企業という問題は解決する。この発想をふまえて給与格差の推移をみていこう。
注1 三輪芳朗「日本の中小企業の『イメージ』『実態』『政策』」経済学論集第54巻第1号、1989年
注2 岩本康志「第1章 中小企業保護」八田達夫、八代尚宏『「弱者」保護政策の経済分析』日本経済新聞社、1995年、20~21頁
注2 岩本康志「第1章 中小企業保護」八田達夫、八代尚宏『「弱者」保護政策の経済分析』日本経済新聞社、1995年、20~21頁







