案内用の小旗を持ち笑顔で立つ女性スタッフ写真はイメージです Photo:PIXTA

成果主義は合理的に見える一方、評価への不満を招き、同僚同士の助け合いや情報共有を失わせることもある。では、社内運動会や社員旅行、上司の「お節介」に象徴される家族主義は、すべて時代遅れなのか。従業員の幸福と業績の関係から、古い日本型経営の「残すべき部分」を考える。※本稿は、幸福学研究者の前野隆司『職場の憂鬱「無気力な毎日」には理由がある』(SBクリエイティブ)の一部を抜粋・編集したものです。

家族型の日本企業には
成果主義は馴染まなかった

 かつての日本企業は「家族」のようだった、と言われます。会社は社員の人生を一生支え、社員は会社に忠誠心を持って働いていました。この言ってしまえば相互依存的な関係が、日本型経営の強みでした。

 しかしバブル崩壊後、この家族主義は、「非効率だ」「甘えだ」と批判されるようになりました。代わりに導入されたのが、アメリカ型の成果主義です。個人の成果を数値で測り、それに応じて報酬を決める。合理的な仕組みですが、日本の風土にはなかなか馴染みませんでした。

 成果主義が導入されても、日本人の多くは自分の成果を声高に主張することに慣れていません。その結果何が起きたかというと、「自分はこれだけの成果を出しました」とアピールするのが得意な人だけが評価され、黙々と縁の下の力持ちをしていた人は、報われにくくなったのです。

 さらに、チームの成果を個人ごとに分解して評価するのは実際には難しい問題です。営業成績のように数字で見えるものは評価しやすいですが、事務職やサポート職など、数字に表れづらい貢献はどう測ればいいのか。