これは最近の研究で明らかになってきたことです。家族や友人と喧嘩していたり、プライベートで心配事を抱えていたりするときは、どうしても仕事のやる気や集中力が落ちてしまう、という経験は、多くの人に覚えがあるのではないでしょうか。
グローバル企業が取り入れる
日本的な家族主義経営
そのため、最近では「従業員満足度」よりも「従業員幸福度」を見るべきだ、という風潮が広がってきています。従業員満足度は、仕事の中での満足しか測りませんが、実際には仕事の中だけでなく、人生全体にわたる幸せが、仕事の成果にもつながっているのです。
『職場の憂鬱「無気力な毎日」には理由がある』(前野隆司、SBクリエイティブ)
実際、ある経営者の方は、従業員やその家族の誕生日まで覚えていて、バースデーカードを贈っているそうです。家族主義的だと笑う人もいるかもしれませんが、この会社の従業員幸福度は高く、業績も安定しています。どんなに仕事をする場所と割り切っていても、職場で家族主義的な温かいつながりがまったくないと、人は孤独を感じて幸福度が下がってしまうのです。
面白いことに、日本企業が手放してしまったこの家族主義的経営に、近年欧米のグローバル企業が注目し始めています。彼らは、「従業員の幸福が企業の成長につながる」ことに気づき、積極的に取り入れようとしています。皮肉な話ですが、日本が捨てたものを、海外が拾い上げようとしているのです。
もちろん、昔の家族主義にそのまま戻ればいいという話ではありません。かつての企業文化には問題もたくさんありました。しかし、「従業員の人生全体に関心を持ち、気軽に相談し合える温かい関係を築く」という精神の部分は、もう一度見直す価値があるのではないでしょうか。
働く幸せ実感は
業績にもプラスに働く
「従業員を幸せにしたところで、会社の業績に関係あるのか」。そう思う方もいるかもしれません。しかし、データは明快です。
パーソル総合研究所(編集部注/労働市場や人材開発、新しい雇用の在り方や働き方など、人と組織にまつわる領域について調査研究を行うシンクタンク)の調査では、働く幸せ実感とその人自身のパフォーマンス、さらにはチームや組織全体の関係を分析しました。
その結果、働く幸せ実感は個人パフォーマンスに対して正の効果を与え、組織パフォーマンスを押し上げ、さらに売上高増加率にまでプラスの影響を与えることが確認されました。
同書より転載 拡大画像表示
逆に、働く不幸せ実感は、個人パフォーマンスに対して負の効果を与えています。
しかし、不幸せが組織パフォーマンスや企業業績に直接影響する効果は、統計的に有意ではありませんでした。つまり、業績を上げたいなら、不幸せを減らすだけではなく、幸せを積極的に増やす必要があるということです。







