肩に手を置く男性上司を拒む女性社員写真はイメージです Photo:PIXTA

断りたい仕事を頼まれたときや、会議で異論を伝えたいとき、自分の意見をどう表現すべきか迷う人は多い。黙って我慢するか、強く言って角を立てるか。その二択を避け、相手を尊重しながら率直に伝える「アサーション」の型を、具体例とともに紹介する。※本稿は、幸福学研究者の前野隆司『職場の憂鬱「無気力な毎日」には理由がある』(SBクリエイティブ)の一部を抜粋・編集したものです。

同じ要求でも伝え方で
印象は大きく変わる

 たとえば、職場のエアコンの温度設定について意見が分かれる場面を考えてみましょう。あなたは暑いと感じている一方、向かいの席の同僚は寒がりだとします。

「ガマンする伝え方」なら、あなたはひたすら耐えます。暑くても何も言わず、汗を拭きながら仕事を続ける。結果的にストレスはあなたの中に溜まり、職場の誰もあなたの困りごとに気づくことはありません。

「セメル伝え方」なら、感じている不満をそのまま相手にぶつけてしまいます。「こんなに暑いのにおかしいんじゃないですか?もっと強く冷房かけてくださいよ」──このように強い言葉を使うと、要求は確かに伝わりますが、相手を責めるような形になります。職場の空気がピリピリし、余計な摩擦が生まれることにもなります。

「イヤミな伝え方」なら、ため息をつきながらうちわを使い、「暑いですねえ」と遠回しに言う。この場合、相手によっては察して対応してくれるかもしれませんが、全く伝わらないかもしれません。「なんだか遠回しで面倒くさい言い方をするな」と思われると、人間関係がねじれたりすることもあるでしょう。