Photo:JIJI
過去最高益を更新したにもかかわらず、わずか1カ月余りで株価が約7割も下落したキオクシア。業績だけを見れば割安に映り、このまま株価が低迷すれば予想PERは4倍程度まで下がる可能性もあります。それでも投資家が買いに踏み切れないのはなぜなのでしょうか。半導体株をのみ込んだ「恐怖相場」の正体と、キオクシアよりもAI需要の恩恵を受けやすい2銘柄を、未来予測を専門とする経済評論家が解説します。
(百年コンサルティングチーフエコノミスト 鈴木貴博)
過去最高益でも株価急落
投資家が恐れる2つのワナ
トヨタを抜いて時価総額トップに躍り出て、6月22日には株価11万2700円をつけたキオクシアがその後の1カ月で急落し7月30日に3万6020円となり、時価総額は▲68%も減少しました。それでこれからどうなるのかという話をします。未来予測専門の経済評論家の立場で、この状況をどう見ているのかという話です。
キオクシアは7月31日の引け後に第一四半期の決算発表を行い、予想通り、過去最高益を更新してきました。前年同期比で売上高は5倍超、純利益は48倍の8870億円(Non-GAAP基準)です。このペースで第二四半期以降も好調な状況が続くと仮定すれば、2027年3月期通期の純利益はトヨタの3兆2500億円(予想)を軽く超えてくるはずです。
これらのニュースを受けてキオクシアの株価は再上昇しているようにも見えます。この原稿を書いている時点で5万4300円ですから、つい6日前の底値で買った人は一週間足らずで財産が1.5倍に増えた計算です。まさに乱高下です。
「業績が良いうえに株価が反転したのだからキオクシアの株を買えばいい」と言うと、大半の読者の方は怖くて買えないと言うでしょう。理由はふたつあります。
第一の理由はこの急落、キオクシアではなく海外の半導体大手が軒並み下落しているからという事情です。キオクシアの競合ではアメリカのマイクロン、韓国のSKハイニックスなど、他の半導体ではCPUのAMD、GPUのエヌビディアなど半導体大手が7月に急落を引き起こしています。
第二の理由は急落の理由が納得できないからです。ニュースでは専門家がきちんと理由を説明していますが、その説明が腹に落ちないからといったほうがいいでしょう。なにかおかしいのです。







