人生100年時代。老後に備えることは大切だが、将来を考えることと、今を大切に生きることのバランスは意外に難しい。世界中の人々に「人生の意味」を問う1000通以上の手紙を送ったジェームズ・ベイリー氏による『人生の意味――世界のあらゆる一流に教えてもらった105の答え』には、充実した人生を送るヒントがあふれている。人生の終わりに振り返ったとき、「もっとこうすればよかった」と後悔しないために、今から意識しておきたいこととは。(構成:田中裕子、写真:山口真由子)
ジェームズ・ベイリー氏
「心配」に時間を使いすぎている
――日本人の寿命は長く、今この瞬間を楽しみながらも老後のことを考えなければなりません。そして、この二つのバランスを取ることは非常に難しいことです。
ジェームズ・ベイリー氏(以下、ベイリー):長生きはすばらしいことですが、その葛藤は私にもよくわかります。
ただ、目線を変えてみて、87歳になった自分が人生を振り返った様子をイメージしてみてください。若いときに抱いていた心配について、そのときも「心配を優先し、楽しみを後回しにしてよかった」と思えるでしょうか?
私はあるとき、多くの人がずいぶん「心配」に頭と時間を使っていることに気づきました。でも、20代、30代、40代でどんなことを心配していたかは、87歳の自分はきっと覚えていないでしょう。
もちろん、やりたいことだけを好きにやり、財産をゼロにして暮らすのは現実的ではありません。生きるためにバランスを取ることは必要です。でも同時に、不要な心配に飲み込まれず、流れていく時間の中できちんと生ききることを意識しなければもったいないと思います。
「楽しみの先延ばし」癖が大きな後悔につながる
ベイリー:「カルペ・ディエム」というラテン語のフレーズがあります。「その日をつかめ」という意味で、「今この瞬間を最大限に楽しめ」という趣旨です。
悲しいことに、人生は何が起こるかわかりません。このインタビューのあと、外に出た瞬間に車にはねられるかもしれないのです。楽しみや幸せを先延ばしにしてガマンして生きても、その楽しい瞬間は永遠に来ないかもしれない。
たとえば、私の友人のお父さんは最近、定年退職しました。彼は一生をかけてコツコツお金を貯めてきたのですが、退職からわずか1週間後に脳腫瘍が見つかったそうです。これから楽しもう、というときにです。
――やりたいことがあっても、タイミングを伺い続け、結局チャンスを逃してしまう人は多いと思います。
ベイリー:「仕事が落ち着いたら」「昇進できたら」「子どもが大きくなったら」という先延ばしですね。でも、実際にその「○○できたら」が実現しても、今度は別の心配や問題、先延ばしの対象が出てくるはずです。ある瞬間を迎えた途端、そこから先が完全な楽園になるということはありません。
「明日死ぬと思って遊んで生きよう」なんて無責任なことは言いませんが、「どうすれば今日がもっと楽しくなるだろう?」と意識を向けてみることは大切だと思います。
問題なのは、いつか幸福な場所にたどり着けると期待し、やりたくないことをし続けたり、好きなことをあきらめたりして、灰色の人生を送ることです。今この瞬間を楽しく過ごし、それを積み重ねることが、幸せな人生をつくるんです。








