「少年院」。そう聞くと、どんな子どもたちがいると想像するだろうか? 実は、少年院の子どもができて、普通の子どもにできないことには、ある共通点があるという。子どもも読めて、大人に刺さる『小学生でもできる言語化』から、著者の田丸雅智氏にヒントをうかがった。(構成/ダイヤモンド社・秋岡敬子)

「少年院の子ども」ができて、「普通の子ども」にできないことPhoto: Adobe Stock

Q.少年院の子ができて、普通の子ができないことってありますか?

――田丸さんは、小学校から高校、企業研修まで、さまざまな場所で書き方講座を実施されていますよね。その中には、少年院での講座もあると伺いました。いろいろな子どもたちを見てきた中で、「少年院の子どもはできているのに、普通の子どもには意外とできていない」と感じることはありますか?

少年院の子どもだからできること

田丸雅智氏(以下、田丸):資質ということではなくて環境の話にはなりますが、ありますね。

 人の話を聞くことです。

 少年院は更生施設なので、当然「言うことを聞かないといけない」度合いが強い。

 反抗すれば指導が入るし、ルールがあります。

 だから、姿勢として「まず聞く」が身についているんです。

――意外! 一見すると当たり前のことなんですね……! 普通の学校に通う子どもたちのほうが、自由に発言したり行動したりできる環境にありますが、だからこそ「まず聞く」という姿勢が身についていないこともあるのでしょうか。

田丸:そう、理解力や学力の話とは別なんです。

 基本姿勢として、「型を守る」「制約に沿う」ができる。

 皮肉なんですけど、それって創作のジャンプに必要な「ちゃんと聞く」「制約に答えようとする」「素直に取り組む」とつながるんですよね。

「自由」が子どものためになるとも限らない

田丸:もう一つよく聞くのは、少年院の子は活字に親しむ子が多いということ。

 娯楽が少なくて、テレビも時間が決まっているから、新聞を読む子もいるし、本を借りて読む子も多い。

 少年院で読書に目覚めた、という話もあります。

 やや飛躍しますが、「自由で、何でもあり」が成長につながるとは限らない。

 ある程度の制限や負荷が、成長に必要な場合もある、というのは考えさせられますね。

――「少年院の子ども」と聞くと、つい「人の言うことを聞かない」「勉強が苦手」といったイメージを持ってしまう人もいるかもしれません。でも実際には、環境によって「まず人の話を聞く」「決められた型に沿って取り組む」といった姿勢が身についている。『小学生でもできる言語化』にも、以下のように少年院でのエピソードが登場しますが、何かを学び、成長するうえでは、能力や才能だけでなく、まず素直に人の話を聞いて取り組むことも大切なのかもしれませんね!

少年院での講座では、言葉にするよりさらに手前、取り組む前から「できません」と言ってそもそもペンを持ってくれないような方もいます。
反抗的ということではなく、本当にできないと心から思っているような感じです。
また、ペンは持ってくれたとしても、言葉がまったく出てこずに固まってしまう方もいます。
そして、まずは言葉を出してもらうために、ぼくから「好きな生き物はいますか?」「好きな食べ物はありますか?」などと聞いてみても、「いません」「ありません」と返ってきたり、「今、この部屋で目につくものはありますか?」と聞いてみても「分かりません」と返ってきたりします。
もはや、言葉にするのが苦手というのを通り越してしまっているような印象です。
ところが、そんな方でも粘り強くやり取りを重ねていくと、少しずつ言葉にしてくれるようになっていきます。

――『小学生でもできる言語化』より