トランプ氏の女性秘書官、米政界で注目される理由Photo:Tasos Katopodis/gettyimages

【ワシントン】米民主党のジョン・オソフ上院議員は彼女のフルネームを口にしなかった。だが政界では誰もが、同氏が誰のことを話しているのか分かった。

 オソフ氏は先日の選挙イベントで、ドナルド・トランプ大統領は本来の職務をこなすより大統領専用機で「ナタリーと一緒に旅行」したがっていると述べた。

 名前を挙げられたナタリーとは、ナタリー・ハープ氏(35)のことだ。大統領のエグゼクティブアシスタントであるハープ氏は、左派からも右派からも注目を集めている。ほとんど発言することはないが、トランプ氏の傍らに常に寄り添い、大統領執務室でのイベントではカメラに写らない位置に立ち、大統領とともに国内外を移動し、大統領に代わってソーシャルメディアに投稿している。

 大統領とやり取りするハープ氏の動画や写真はネット上で数百万回の閲覧数を記録し、トランプ時代の新たな「クリック稼ぎ」コンテンツとなっている。

 民主党から見れば、ハープ氏はトランプ氏の言動を助長する主要な「お膳立て役」の一人だ。共和党にとっては、トランプ氏の「門番」である。著名なロビイストも怪しげな人物も、ハープ氏に適切なタイミングでテキストメッセージを送ることで、世界で最も権力のある人物と面会する機会が得られる。

 ハープ氏に関するオソフ上院議員の発言に対し、保守派はほぼ一致してあざける姿勢を示し、内部分裂を抱える保守派が珍しく結束した瞬間となった。大統領と秘書官が不適切な関係にあることを示唆したとオソフ氏を非難する向きもあった。ホワイトハウスはこうした関係を強く否定している。

 ホワイトハウスのスティーブン・チャン広報部長は下品な侮辱でオソフ氏に反撃した。保守系コメンテーターのスコット・ジェニングス氏はオソフ氏を性差別主義者と非難し、「臆病者」と呼んだ。保守系ラジオ司会者のヒュー・ヒューイット氏は「中傷を振りまく意地悪で嫌なやつ」と批判した。トランプ氏は彼を、コメディアンが作り上げた架空の人物「ピーウィー・ハーマン」になぞらえた。

 コメントを求められたオソフ氏の選挙陣営は、同氏が17日のテレビインタビューで行った発言に言及した。オソフ氏は、ハープ氏や他の補佐官たちは大統領に「必要なことを伝えていない」と主張していた。

「政治というものは泥仕合になってしまうこともあるのが現実だ」とジュリー・ジョンソン下院議員(民主)は今週CNNに語り、オソフ氏を擁護した。ジョンソン氏は、トランプ氏とその政治的同盟者たちは長年にわたり政敵に対して鋭い攻撃を行ってきたと述べ、彼らは「最悪の子供じみた行為に走る」と主張した。

 共和党側からの激しい反発はホワイトハウス内の揺るぎない真実を浮き彫りにした。現・元政権当局者によると、ハープ氏は事実上、手出しできない存在だという。