教室で並んで座る両親と子ども写真はイメージです Photo:PIXTA

「教育熱心な街」と聞いて、どこを思い浮かべるだろうか。東京では、公立小卒業生の約4人に1人が地元の公立中以外へ進むが、その割合には大きな地域差がある。しかも小学校受験になると、同じ高所得層が多い街でも、山の手と湾岸でくっきり傾向が分かれる。データを可視化すると見えてくる、東京の「お受験熱」の意外な地図とは。※本稿は、データ可視化職人のにゃんこそば『データでわかる東京格差 数値の「可視化」で真実をあぶりだす』(SBクリエイティブ)の一部を抜粋・編集したものです。

東京の「お受験熱」を
データで可視化する

 多くの家庭にとって、子どもの教育は最大の関心事の1つです。特に首都圏では小学校・中学校の受験が過熱していますが、その熱量は住む場所によって大きく異なります。

 ある街ではクラスの半数以上が中学受験に挑み、またある街では小学校から私立に通わせることが当たり前となっている――こうしたお受験熱の地域差は、一体どこから生まれるのでしょうか。

 東京都教育委員会『令和6年度 公立学校統計調査報告書(進路状況調査編)』より、2024年3月に都内の公立小学校を卒業した児童のうち、地元の区市町村立中学校以外(私立・国立中学校、都立中高一貫教育校、都外の中学校など)へ進学した割合を可視化してみました(図1)。

図1 東京都「地元の区市町村立中学校以外」へ進学率マップ(2024年)同書より転載 拡大画像表示

 なお、本稿ではこれら「地元公立中以外への進学割合」を「外部進学率」と呼び、中学受験動向の代理指標として用いることとします。

 データを読み解くにあたり、いくつか注意点があります。

(1)国立・私立小学校の卒業生は集計対象外。
(2)児童の居住地ではなく、通っていた公立小学校の所在地が基準。小学校の越境通学者は通学先の市区町村でカウントされる。
(3)他の道府県へ転居した人も「外部進学」にカウントされるため、受験行動のみを示す指標ではない。

 東京都内全体ではおよそ4人に1人(24.8%)が地元の公立中学校以外へ進学しています。23区の都心周辺と山の手(城南、城西エリア)で特に高くなっており、中央区(54.6%)、文京区(53.6%)、港区(53.6%)を筆頭に、9つの区で40%を超えています。

山の手・武蔵野台地住民は
なぜ中学受験に熱くなるのか

 なぜ、これらの地域では外部進学率が高いのでしょうか。

 その要因は大きく2つ考えられます。

 第1の要因は、学校や塾といった教育資源の立地です。

 江戸時代、現在の千代田区、港区などにあたる山の手エリアには広大な敷地を持つ大名屋敷や寺社地が数多く存在しましたが、明治維新後、その一部は学校の用地に転用されました。学習院女子中等科(尾張徳川家下屋敷跡)などがその例です。

 また、その西側の郊外(武蔵野台地)や横浜、鎌倉などには、経済的に余裕のある富裕層や、教育への関心が高い知識人層が多く住んでいたことから、彼らのニーズに応える形で数多くの私立学校が設立されました。