「薬がないと眠れない…」そんな睡眠の不安を抱えていませんか? 実は精神科医である私自身も、睡眠薬を手放せない深刻な不眠症に悩まされた過去があります。自己判断での断薬が引き起こす恐ろしいリスクと葛藤する中で、私はある「意外な考え方」にたどり着きました。医師としての専門的な視点と、患者としての実体験。薬に頼っていた私が、どうやって自然な眠りを取り戻したのか、そのリアルな軌跡をお話しします。(構成/ダイヤモンド社書籍編集局・斎藤順)
※本稿は『精神科医Tomyが教える 1秒で不安が吹き飛ぶ言葉』(ダイヤモンド社)の著者による特別原稿です。

精神科医の私が「不眠症」を克服した方法・ベスト1Photo: Adobe Stock

精神科医の私が不眠症を克服した方法

今日は精神科医である私が、不眠症を克服するために実践した方法についてお話しします。

睡眠薬を手放せなかった過去と、大前提となる注意点

私自身、以前から不眠症の傾向がありました。学生時代から月1回程度、理由もなく眠れない日があり、もともと寝つくのがあまり得意ではなかったのです。

その後、父が倒れた時期を境に、睡眠薬が手放せなくなってしまったという経緯があります。しかし最近になって、ようやく睡眠薬なしでも眠れるようになりました。

お話しする前に大前提としてお伝えしたいのは、不眠症の治療は医師の介入が必要な専門的な領域だということです。これからお話しする内容は、必ず医療機関を受診し、主治医の指示のもとで治療を進めるという前提のものであることをあらかじめご承知おきください。

睡眠薬をやめたい葛藤と「反跳性不眠」の危険性

不眠症の治療中には、多くの方が葛藤を抱えます。「たまに眠れない時に使う」程度なら気にならなくても、「薬がないと眠れない」状態になると、旅行先でも薬の手持ちがないと不安になってしまいます。

睡眠という人間の必須な生理現象を薬に頼らざるを得ない状況は、自尊心に関わることもあり、「できればやめたい」と思うのは自然なことです。

しかし、自己判断で勝手に薬をやめるのは非常に危険です。特に少し前のタイプの睡眠薬(ベンゾジアゼピン系など)を服用している場合、急に中断すると治療前よりも強烈な不眠に陥り、朝まで全く寝つけないといった「反跳性(はんちょうせい)不眠」を引き起こすリスクがあります。

克服の鍵は「睡眠を意識しすぎない」こと

勝手に薬をやめることはできず、かといって飲み続けるのも辛い。そんな状況下で、私にとって最も大切だったのは、「無理をして不眠症を治そうと頑張らなかったこと」でした。

「早く治したい」「薬を使いたくない」という思いが先行しすぎると、かえって「今日は大丈夫かな」と緊張してしまい、やめられなくなってしまいます。大切なのは、睡眠を過剰に意識しないことです。

「今日一晩ぐらい眠れなくても大丈夫」と開き直り、眠れない恐怖を手放していくことが、だんだんと治療への道につながっていきます。

治療は主治医に任せ、患者は「お気楽」な精神を

外来での不眠症治療において、医師はただ適当に薬を出しているわけではありません。睡眠衛生指導を行ったり、背景に隠れている身体疾患や精神疾患を判別したりしながら、患者さんに合った睡眠薬や漢方薬を慎重に選択しています。

だからこそ、治療は自己判断せず、主治医の先生にしっかりとお任せしてください。そのうえで、治療を受ける側としては「今晩は眠れるだろうか」といちいち考えすぎないことが大切です。

真面目な人ほど自分を追い詰めてしまいがちですが、「ぼちぼち眠れたらいいや」「なんとかなるだろう」といった大雑把で気楽なマインドを持つことが、不眠症克服への有効なアプローチになると思います。