1. 部下の話を「お題」にして、いつのまにか自分の成功談や苦労話を始めてしまう
気づけば、悩みを打ち明けたはずの部下のほうが、聞き役に回っています。
2. 求められてもいないアドバイスやジャッジをする
ただ話を聞いたり気持ちを受け止めたりしてほしいだけの部下に、即座に解決策を示し、感情を置き去りにしてしまう。目の前の案件を次々にさばく、仕事の速い管理職ほど陥りがちな行動です。
3. 本当は分かっていないのに、分かるよ、大変だったね、すごいね、と薄い共感を返す
その場を円滑にやり過ごすだけの反応は、必ず相手に見透かされます。
4. つまり何が言いたいの、と無理にまとめさせる
心理学で「フェルトセンス」と呼ばれる、言葉になる前の曖昧ではっきり説明できない感覚にこそ、本当に大切な本心が隠れているのに、結論から言えと詰め寄って、その言葉を封じ込めてしまっています。
5. どちらが正しいかを決めたがる
会話を上司が正しい/部下が間違っているという勝ち負けの枠でしか捉えられず、相手の情に対して論理で論破しようとします。
6. 間や沈黙を怖がって、すぐ言葉で埋めてしまう
部下が言葉を選んでいる沈黙にも意味があるのに、それを待てず、「それはこういうこと?」と先回りしてしまう。気づけば上司ばかりが話し、空回りしたまま面談が終わっています。うまく話を聞けないと悩んでいる上司こそが、間や沈黙を人一倍破っていたり、指摘されて初めて、自分は沈黙が怖かったのかもしれない、と気づく人もいます。
7. 話の途中から、次の返答や評価を考え始めている
相手を理解することより、言葉のキャッチボールを速く回すことを優先しています。
必要なのはテクニックより姿勢
本当に話を聞くには、心理学者カール・ロジャーズがカウンセラーや看護師など対人援助職の条件として挙げた、「自己一致」という考え方を応用するとよいかもしれません。※1
人は話を聞いている最中にも、それは違うという反発を感じたり、悲しみなどの感情が湧いてきたりするものです。その感情に即反応するのではなく、今、自分は反論したくなっている、と一歩引いて自分を観察する。
相手に向き合いつつ、意識としては、自分と相手のやりとりを俯瞰し続けるのです。私はこれを、自分の斜め後ろに監視カメラを据えるようなものだと説明しています。そうすれば、途中で結論を固めずに、最後まで聞ききることができます。
ただ、これはかなり高度なテクニックです。私は、より大事なのは、やはりロジャースがカウンセラーの条件として挙げる「無条件の積極的関心」※2のほうだと考えています。相手の話が自分の価値観に合うか、役立つかどうかにかかわらず、この人は何を考え、何を大切にしようとしているのかに関心を向けるのです。この考え方を頭に置いていれば、あなたの言葉を大切に扱っている、というこちらの姿勢が自然と伝わり、相手が言葉に詰まったときすら、沈黙を相手からのメッセージとして受け止め、粘り強く聴き続けられます。
上司と部下はそもそも対等ではないので、もし、過去のたった数回の成功体験だけをもとに、部下の話から、こうに違いないと決めつければ、上から下を説得するような構図に陥ってしまう。対話の最中は、自分の考えに対し、そうではないかもしれないと疑い、部下の考えを、そうかもしれない、と受け止める。そして自分の考えをまとめるのは部下が話し終えてからにするのです。







