米財務省は8月19日、長期米国債の買い戻し規模を1回当たり20億ドルから40億ドル以上へと倍増させると発表した。満期10~30年の米国債が対象で、実施期間は9月9日から11月4日までとなる。この発表の前には、30年債利回りが19年ぶりの高水準に達していた。発表後、利回りは数分のうちに低下した。だが翌日午後には、下げ始めた時点よりも高い水準に戻っていた。市場の判断は迅速かつ的確だった。これは流動性管理ではなく、価格管理だと見抜いた。しかも40億ドル(約6400億円)という数字が示唆するよりも、はるかに大きな過ちである。財務省の発表によって、その本心が露呈した。財務省は今回の増額について、「市場参加者からの一貫した強い支持」がある年限での流動性支援だと説明した。だが、強い支持があるということ自体が、健全に機能している市場の定義そのものだ。入札が不調でもなく、ディーラーのバランスシートが機能不全に陥ることもなく、強制的な売却もなく、2020年3月の米国債市場や22年9月の英国債市場で見られたような、公的介入を正当化する本物の機能不全に類するものは何もなかった。ボラティリティーは抑えられ、取引は秩序立っていた。これは機能不全ではなく、市場というシステムが正常に機能していた結果だ。