レストランで一人で食事をする高齢男性写真はイメージです Photo:PIXTA

「空気を読まない」と聞くと、わがままな生き方を想像するかもしれない。だが、周囲の顔色をうかがい、自分の思いをのみ込むことが、本当に「うまく生きる」ことなのだろうか。長年、組織のトップを務めてきた医師の鎌田實氏は、あえて空気を読まず、自分の力で生きる道を選んできたという。人間関係やモノ、思い出まで整理しながら、人生を身軽にする「ソロ力」とは――。※本稿は、医師の鎌田 實『身辺整理』(明日香出版社)の一部を抜粋・編集したものです。

「つながり過剰症候群」に注意?
ひとりの時間との向き合い方

 空気を読みすぎる人は、身辺整理が大事です。

 自分は本当は何がしたいのか、何を言いたいのか。

 ときどきでいいから、きちんと発言することが大事。

 ぽつりぽつりと、自分の思いを語るだけでもいいのです。

 人とつながっていないと、うまく生きられないのではないかと思い込んでしまい、人の顔色をうかがってしまう。

 僕はこれを「つながり過剰症候群」と呼んでいます。

 ときどき、ソロ立ちすることが大事です。

 ひとりで図書館に行ってみる。映画もひとりで観に行ってみる。

 慣れてきたら、女性もひとりでラーメン屋さんに入ってみるのもいい。

 自分の思うように時間を使えるのは、ソロ立ちの特権。食べたいもの、見たいもの、行ってみたい場所――だれにも気兼ねなく思う存分やってみることが大事です。

 48歳から50代前半、自分がやりたかったことがなんなのか考えました。自分と向き合ったのです。56歳のとき、病院をやめました。「ひとり時間」で人生の軌道修正を図ったのです。

 この迷いの時期、自分の得意技、友だちをつくる力があったので、いつもいい仲間がいました。仲間は大切だと思いながら、だれかといたいときはだれかといればいいのだ、ということに気がついたのです。

 こうやって、ひとり時間の鍛え方を身につけたように思います。

 ミニシアターでのソロシネマや、唐組のテント芝居、新宿ピットインでのひとりジャズなど、ソロ力を高めていきました。

 つながりは大事。でも、つながり過剰症候群にならないように、ときどき身辺整理をしてソロ力を磨いてください。

空気を読まずに
自分の力で生きる

 空気を読みすぎる日本人の中で、ときどき僕は、あえて空気を読まない生き方を選択してきました。

 もちろん、長いあいだ組織の長をうまくやっていくためには、敏感に空気を読む力も必要です。しかし、そういった力を持ちつつ、リーダーとしてあえて空気を読まない、顔色をうかがわない。

 いまは苦しくても、10年先のことを考えてみる。

 10年先に世界がどうなっているか、社会がどうなっているか、自分の働く場や自分の家がどうなっているか。

 そういったことを常に考えながら、不羈独立(ふきどくりつ)の生き方を選択してきました。ちなみに、この不羈独立とは、ほかからの束縛や制約を受けず、自分の力と判断で物事を行うことです。

 電通総研の生活者意識調査(2022年)によると、自分の意思で自由に生きていると感じている日本人の割合はわずか5.3%。