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老後のお金について考えるとき、多くの人が気にするのは「いくら貯めておけば安心か」ということではないだろうか。しかし、年齢を重ねていくうえでは、資産の額とは別に考えておきたい問題がある。77歳になって初めて本気で「お金の身辺整理」に向き合ったという医師の鎌田實氏。その経験から、老後に備えておきたいお金との向き合い方を説く。※本稿は、医師の鎌田 實『身辺整理』(明日香出版社)の一部を抜粋・編集したものです。
老後は「お金の身辺整理」が
もっとも重要な理由
僕がいちばん大切だと思っている備えは、お金の身辺整理です。
77歳になって、この身辺整理に初めて本気で向き合いました。
通帳を全部出して並べてみたら、笑ってしまいますが、額ではなく通帳の数が、思っていた以上にありました。
水道代やガス代が引き落とされる通帳。年金が入ってくる通帳。
それとは別に、「銀行がつぶれたとき、保護される額が限定される」と聞いて、リスク分散のつもりでつくった通帳が、いくつか出てきました。
当時は、それぞれに意味があったのです。
でも、正直に言えば、「あれあれ症候群」になり始めた鎌田にとって、つまり、固有名詞がなかなか出なくなり、「あれ」という言葉が多くなって、記憶力が少しずつ落ちてきている鎌田にとって、もう自分ではわからなくなってきていた。
そんな僕に、息子が言いました。
「通帳は、ひとつか、せめてふたつくらいにしたほうがいい。そのほうが、あとあとわかりやすいよ。親父が死んだあとは、もっとわからなくなってしまう」
そのひとことに、僕ははっとしました。
僕が「いつ死んでもいい」とよく言っているので、家族のあいだで死のことがよく取り沙汰されます。これは、身辺整理をくり返してきたごほうびだと思います。
死のことをタブー視しない、準備をしておくことは大事だと、家族みんなが思っているのです。
放置されている休眠預金は
そのまま国のお金になる
ちなみに預金は、10年間放置されていると休眠預金にされます。
このお金が、毎年1000億円ぐらいになります。
一度は銀行から連絡が来て、きちんとした手続きをすれば、預金を下ろすことが可能です。
でも、住所変更などで通知が届かない場合もあり、結局500億円ぐらいは、そのまま国のお金になります。
現在、この休眠預金を社会に役立てようとして法律が変わり、NPOなどの活動に使われる社会システムが出来上がっています。
やはり、お金の身辺整理はとても大切です。
だれかに相談してみると、自分の知らなかった知識や知恵を得ることもできますので、ぜひ検討してみてください。
少しお金が余りそうならば、クラウドファンディングをインターネットで見ながら、自分の好みに合わせて寄付をするのもいいと思います。
僕が長く関わってきたNPOの、日本チェルノブイリ連帯基金(JCF)や日本イラク医療支援ネットワーク(JIM-NET)などもおすすめです。







