終わらぬ戦争、試されるFRB「次の一手」TIMO LENZEN FOR WSJ

 今の時代、優秀な従業員であること以上に重要なことは何か。それは、企業で導入が増えている、生産性監視用の人工知能(AI)システムの目に「優秀な従業員」だと映ることだ。

 従業員監視システムはテクノロジー企業で特に普及しており、従業員が勤務時間をどう使っているか調べたいと考える、ホワイトカラーを抱える他業種の企業でも利用されている。恐ろしいのは、米国では多くの州で、そうしたシステムを使っているかどうかの開示が義務付けられていないため、従業員は監視されていることに気づいてすらいないかもしれないという点だ。

 測定指標には、売り上げ実績のように間違いなく関連性のある業績データが含まれるだろう。しかしキーボードをたたいた数やコンピューター画面がスリープモードになる頻度といった、業績との関係性が疑わしい代替指標を用いる場合もある。

 新型コロナ禍で在宅勤務を強いられていた間は、監視の強化はおおむね受け入れられていたか、あるいは少なくとも理解されていた。当時は、上司が直接会えない従業員の動きを把握しておくのは妥当なことのように思えた。

 しかし監視はエスカレートする一方で、緊張も高まっている。

 米 メタ・プラットフォームズ の元従業員らが訴えた裁判で原告団は、同社が今年5月に 従業員の約10%の削減を開始 した際、「各種の社内AIシステム」を利用したと訴訟で主張している。メタは、解雇の判断は人間が下すと説明している。

 この訴訟の行方はどうであれ、明らかな点はいくつかある。従業員の働きぶりを見極めたい企業は、高度なAI監視システムを利用できる時代になっている。そして企業側は、低迷する労働市場で自分たちのほうに交渉力があると考えているのだ。

 そのため、自分の価値が上司の生産性チェックの指標上に数字として表れることにいら立ちを覚えるとしても、私たちはそのルールの中でうまくやらなければならない。従業員監視システムを作る関係者や、そのシステムを出し抜こうとする人々の話をもとに、いくつかのヒントを紹介しよう。