終わらぬ戦争、試されるFRB「次の一手」Photo:Kevin Dietsch/gettyimages

 原油価格の上昇を背景に、各国の中央銀行はイラン戦争がインフレに与える影響をいつまで「一時的」とみなせるか、判断を迫られている。米連邦準備制度理事会(FRB)については、市場参加者の間で「そう長くない」との見方が強まっている。

 ここ数日間、米国債利回りは原油価格と連動して上昇しており、長期金利の指標となる10年物国債利回りはドナルド・トランプ大統領の任期中で最高水準に達した。エネルギーコストの上昇は利回りを押し上げる傾向がある。投資家がインフレの上昇、あるいはそれを防ぐためのFRBの利上げのいずれかを予想するためだ。

 FRBのマイケル・バー理事は1日、新たなデータが物価上昇圧力の緩和を示さない限り、FRBは今月にも利上げを開始すべきだと発言した。

 バー氏は米首都ワシントンでの講演で、「インフレが十分に鈍化していないようであれば、われわれは利上げに向けて断固たる行動をとるべきだと考える」と述べた。その上で、FRBは2024年までにインフレ率を2%を若干上回る水準まで低下させたものの、昨年は関税、中東紛争、そして人工知能(AI)整備拡大などの影響で進展が停滞したと指摘した。

 バー氏の発言は、9月15・16日開催予定の連邦公開市場委員会(FOMC)での政策決定が、いかに際どい状況になっているかを浮き彫りにする。政策判断の行方は、11日発表の8月のインフレ統計を含む今後2週間の動向次第となる。FRBが7月会合で政策金利の据え置きを決定した際、バー氏の同僚のうち3人は利上げを支持して据え置きに反対票を投じた。

 FRBのケビン・ウォーシュ議長は先週、発表される経済指標以上のものに注視していると述べた。

 ウォーシュ氏は、7月の金利据え置き決定について説明した際、大半の当局者が「特にサプライチェーン(供給網)、投資フロー、地政学的な今後の展開を踏まえ」、新たな情報を評価することを望んでいたと指摘した。その基準に照らせば、長期化してエネルギー価格を高止まりさせている紛争は、まさに当局者の考えを左右する要因となる。