当初は、金融政策の先行きを示唆するような発言はしないと見られていたウォーシュFRB(米連邦準備制度理事会)議長だが、利上げに含みを持たせる発言をした Photo:Bloomberg/gettyimages
FRB(米連邦準備制度理事会)のウォーシュ議長はジャクソンホール会議で、2%の物価目標を堅持する姿勢を鮮明にし、インフレ鈍化が不十分なら追加対応が必要だと強調した。市場では9月利上げ観測が一気に6割前後まで上昇した。しかし、講演を精査すると、早期利上げを明確に宣言したわけではない。年内の政策金利は据え置かれる可能性が高いとみる。(マーケットコンシェルジュ代表 上野泰也)
ウォーシュ議長がジャクソンホールでタカ派に転換
問われていた「インフレ抑制への信認」を回復できるか
FRB(米連邦準備制度理事会)のウォーシュ議長は8月28日、ワイオミング州の保養地ジャクソンホールで開催された毎年恒例の経済シンポジウム「ジャクソンホール会議」で講演を行った。
ウォーシュ氏は7月のFOMC(米連邦公開市場委員会)終了後の記者会見で、長期金利の上昇によって金融環境が引き締まればFRBがあえて利上げする必要はないとも受け取れる発言を行うなど、そのインフレ抑制姿勢に疑問符が付けられていた。
また、ウォーシュ氏が金融政策に関するメッセージ発信を少なくする方針を取っていることが金融市場での価格形成を難しくしており、プレミアム(上乗せ金利)の拡大が米長期・超長期国債利回りのこのところの上昇に寄与しているのではないかという批判が聞かれている。
ジャクソンホール会議での今回の講演は、ウォーシュ氏にとり、損なわれた自らに対する信認を回復する機会である。残念ながら筆者は事前にそこまで十分考えが及ばなかったが、ウォーシュ氏の講演内容がタカ派色を帯びたのは上記の経緯からすると、ごく自然な成り行きだった。
次ページでは、講演の内容を振り返りながらウォーシュ氏の意図を検証し、金融政策の先行きを予測する。








